「原爆被爆者対策基本問題懇談会」議事録、続報

8月に東京新聞が報じていた「原爆被爆者対策基本問題懇談会」の議事録について、今日の朝日新聞が報じている。


なるほど、本格的な補償のためには財源が必要であり、官僚が「財政破綻を恐れた」と釈明するのは理解できなくもない。しかし問題が「財政」であるならそう正直に言えばよいのであって、「ぴんぴんして何でもない人もずいぶん多い」だの「センチメンタルなものを長々と読みまして、せっかくの時間を浪費してしまった」だの「一種のたかりの構造の具体的なあらわれ」だのと被害者を愚弄する必要はない。戦争被害は「国民が等しく受忍しなければならない」のだとすれば、戦後補償のための負担を「等しく受忍」する(特別税を新設するなど)という途だってあったはずである。今回例示されている委員の発言のうち、私の記憶では東京新聞の報道になかったものの一つが、この「戦争被害受忍論」の欺瞞性をよく現わしているように思われる。

●第9回会合(1980年6月17日)


【委員】(配布された旧軍人・軍属の援護額の表を見て)恐らくこの表を出したら原爆被爆者というのは食いついてくるのではないか。

「旧軍人・軍属の援護額」にどのような金額が記されていたのかわからないが、1980年における恩給(旧軍人、軍属以外の公務員も受給者に含まれるが、厚労省によれば受給者の「大部分」は「戦没者遺族、傷痍軍人及びその遺族、退職軍人及びその遺族」とのこと)の予算が1兆5000億円ほど(この資料によれば77年に1兆円を超え、83年の約1兆7千3百億円がピーク、05年ころまで1兆円を超えていた)であることを考えれば大まかな規模は推定できよう。