日本政府、66年間の不作為

 太平洋戦争中に朝鮮半島から動員された軍人・軍属約26万人の全配属部隊と配置先が、近代史研究家の竹内康人さん(54)=浜松市=の調査で明らかになった。日本政府が韓国政府に引き渡した軍人・軍属関係の名簿を調査した。朝鮮半島出身の軍人・軍属は人数や配属地など詳細が不明だったが、アジア・太平洋全域に配備された全体像が初めて判明した。多くの犠牲者を出したニューギニア戦線で朝鮮半島出身者が配属された全部隊名と人数など、初めて明らかになった事実も多い。
(後略)

日本政府が名簿を「本人や遺族などにしか」公開しなかったのに対し、93年に日本政府から引き渡された韓国政府が09年から日本人研究者にも閲覧を認めるようになったことで可能になった調査、とのことです。
先のエントリでとりあげた「1819枚の命」には、シベリア抑留の犠牲者である夫の埋葬地で遺骨収集活動を行った遺族会のメンバーに託して供養を果たすことができた元妻(戦後、遺言により夫の弟と再婚)が登場します。こうしたことが可能になるのも埋葬等に関する資料があればこそであって、遺族にとっては「たかが名簿」ではないわけです。
ましてこのケースは、大日本帝国が当時の「国民」に対してなにを強いたかを示す資料ですから、戦後の日本政府が率先して整理し、広く利用可能な状態にする責任を負っていたわけです。つくづく無責任な政府だと思わざるを得ませんが、その無責任さを放置してきたのは私たち有権者でもあるわけです。