なにが一次的な問題か(追記あり)

 デモ参加者に飛びかかり妨害するなどしたとして、警視庁渋谷署は4日、暴行の現行犯で、男(27)を逮捕した。
 逮捕容疑は、同日午後3時25分ごろ、東京都渋谷区神南の路上で、デモに参加していた60代の男性に飛びかかり、暴行を加えたとしている。
(後略)

「デモに参加していた60代の男性」って、まるで末端の参加者みたいですが、実際には飛びかかられたのは西村修平のようです(デモを支持するブログに写真もアップロードされていますが、逮捕された男性の顔を鮮明に写した写真もアップロードされているため、ここではソースは示しません)。「主権回復を目指す会」はこのデモに「共闘団体」として名を連ね、「不逞鮮人は地上の楽園に帰れ!」といった主張を掲げているわけですが、こうした事実をオミットするとずいぶん違う印象を受けますね。
もちろん、「西村修平だったら殴られてもかまわない」というわけじゃありません。ネットの情報を信じるなら逮捕された男性はあらかじめ殴り返される覚悟を固めて出向いたようで(おそらく逮捕についても織り込み済みなのでしょう)、現に袋叩きのような目にあったようです。私は逮捕された男性の暴行(という報道が正しいとして、ですが)のみならずこのデモ隊の物理的暴力(それがネットで言われている通りあったとして)についても二次的な問題にすぎないと考えます。一つには両当事者とも命に関わるようなケガをさせるつもりがあったとは思えないこと(過去の事例についても同様)もありますが*1、それ以上にこのような物理的暴力は、現在の法制度の下でも、警察にその気さえあれば事前に・あるいは重大な事態になるまえに止めることができ、かつ事後には司法手続きにゆだねることができるから、です*2。非暴力のデモ隊が「不逞鮮人は地上の楽園に帰れ!」と主張していたらそれはオッケーなのか? こそが(現時点では)まずもって問われるべきことでしょう。


追記:逮捕された男性が早々に釈放されたこと、また彼ないし彼に近い立場の人々から産経の報道とは異なる主張がネットで発信されていることを拙ブログの読者の方ならご存知かもしれません。ただ、本エントリは仮に産経の報道が事実に忠実であったとしても妥当することを書こうとすることを意図していましたので、その点について追記なり訂正なりはいたしません。更なる情報をご希望の方は、この数日の私のブクマから関連情報をたどっていただければ幸いです。

*1:したがって、一方ないし双方の物理的暴力が現状よりもエスカレートする兆しが見えた場合には、判断を改める可能性はあります。

*2:もちろん、当局の取り締まり実態が過不足のないものであるかどうか、はチェックされねばなりません。