消えた「優秀賞」受賞作

アパグループ第4回「真の近現代史観」懸賞論文についてのエントリを書いた際に、「そういえば過去の入賞者に『現代のエスプリ』に論文が載った学生がいたはず」と思い出して調べてみたのですが、それらしき人名で検索してみてもさっぱりヒットしません。そのうちに、第1回の受賞作決定を伝えるページの奇妙さに気づきました。「優秀賞」は社会人部門と学生部門とで2名が受賞しているはずなのに、1名しか掲載されていません。記憶違いで第1回は1名だけだったのか? とも思いましたが、わざわざ「社会人部門」という但し書きがあるのは学生部門もあったから、と考えるのが自然でしょう。そこでさらに調べてみたところ、「消された受賞者」の存在が浮かび上がりました。受賞作を書籍化したものの書誌情報(国会図書館のサイトに掲載されている)やアパグループの過去のニュース・リリースによって第1回学生部門「優秀賞」の受賞者が確認できました。
興味深いことに、ウィキペディアの「「真の近現代史観」懸賞論文」の項においても第1回分についてだけ学生部門「優秀賞」受賞作の存在は抹消されています。編集履歴をチェックしてみると、「最優秀賞」以外の受賞作への言及が追加された最初のバージョンから学生部門「優秀賞」への言及はありません。脚注には「一般人とおもわれる受賞者は割愛している」というエクスキューズが一貫して付されており、これは当時大学生であった受賞者の将来を慮るならば理解できなくはありません。しかし第2回、第3回については学生部門の受賞者の氏名が明記されていることとの整合性がとれません。特に第2回の受賞者は当時中学生ですから、受賞当時大学生だった受賞者よりはるかに保護すべき度合いは高いはずです。なにより、アパグループのサイトから名前が消されている事実があるわけですから、ウィキペディアの記述(の不在)についてもなにか裏がありそうです……*1
もし受賞歴が受賞者のキャリアに差し障るから、といった理由で抹消されたのであればこれ以上詮索すべきではありませんが(したがって、このエントリでも受賞者の氏名は伏せてあります)、アパ側にとって不都合なことがあって抹消されたというのであれば、なかなか好奇心を刺激されるはなしであります。

*1:単に、第1回分について学生等の受賞者の氏名を伏せるべきと判断した編集者が、第2、3回分の記述についてはスルーしているだけかもしれませんが。この注、追記。