地上戦体験(の不在)について
昨晩放送された ETV特集の「沖縄戦 心の傷〜戦後67年 初の大規模調査〜」。米軍基地の存在が沖縄戦体験を想起するきっかけになることが多い、また沖縄戦ではなく戦後に起きた米軍からみの事件や事故が外傷的な体験になっている人もいるなど、これが「いま」の問題であることを突きつけてくる内容でした。また、日本の精神医療における入院中心主義という問題との関わりなどにも、簡単に触れられています。
私自身の関心に即したところでは、2人の専門家が「地上戦体験」の特有さを指摘していたのが印象的でした。内地の非戦闘員の戦争体験といえばもっぱら都市への空襲のそれであるのに対し、地上戦に巻き込まれた沖縄県民の体験は戦後の日本で広く共有されてこなかったことが、この社会の戦争認識に大きな歪みをもたらしているのではないか? というのが、前々から考えていたことですので。(例えば、カジュアルな南京事件否定論の背景にも、歩兵による掃討戦の“破壊力”に対する無理解があるのではないか、と思っています。)
なお、8月19日(日) 午前0時50分から再放送されます。見逃された方は是非。