「証拠を出せ? 出したらちゃんと自分の目で見るんだろうな?」その9
落とし穴掘った場所にあれほどわかりやすく印を付けてやっているのに、次から次へと「自分で証拠を見てみるつもりのないやつ」が湧いてくる本シリーズ、「資料構成 戦争体験記・部隊史にみる日本軍「慰安婦」」の紹介をまた一回休んで、市販されている資料集を紹介します。いずれも『戦争責任研究』第77号で紹介されているものであり、またいずれも「強制連行はなかった」派が眼をまっ赤にして見ないフリをしている史料を含むものばかりです。
- 戦地性暴力を調査する会編、『資料集 日本軍にみる性管理と性暴力―フィリピン一九四一―一九四五年』、梨の木舎、2008年
市民団体が防衛研究書図書館に所蔵されていた旧軍資料を調査し、フィリピンの事例に絞って編纂したもの。134点の資料を含み、「その中にはすでに知られている資料もあるが、ここで初めて見るものも少なくない」と紹介されています。
東京裁判で提出されていた「慰安婦」関連文書の存在については新聞でも報道されたので、ご記憶の方も多いでしょう。本資料集は性暴力の証拠書類40点と、民間人に対するその他の戦争犯罪に関する証拠文書のリスト(60ページにも達する長大なリスト)が収録されているほか、編者4人による「東京裁判と性暴力-解説にかえて」は「解説と言う以上に、優れた論文として参照すべき」だとされています。先日言及した紙智子参院議員(共産)の質問主意書が想定していたのは本資料集に収録されているような史料です。dempax さんが目次を書き起こしておられます。
- 梶村太一郎・村岡崇光・糟谷廣一郎、『「慰安婦」強制連行』、金曜日、2008年
インドネシアにおける強制連行・強制売春を裁いたオランダの戦犯裁判資料や、オランダ政府の調査報告書、その他関連する資料を収録。オランダの資料は従来英訳からの重訳で紹介されることが多かったが、本資料集ではオランダ語原文からの翻訳が収録されているのが特徴の一つ。