ETV特集「アメリカと被爆者」

日本の右派のイデオロギーからすれば「自虐」的な活動をした/していることになるはずの、2人のアメリカ人を紹介するシリーズ。実際、2人に対するアメリカ社会の反応には私たちにもおなじみのものが見られる。例えば長崎の被爆者5人の障害をつづった NAGASAKI: Life After Nuclear War を書いたスーザン・サザードさんのもとには好意的な感想に混じって「ハワイには行ったのか?」「奇襲の被害の跡は見たのか?」といったメールが送られてくる。シュモーさんの働きかけで整備されたシアトルのピース・パークには広島の被爆者、佐々木禎子さんをモデルにした像が設置されているが、この像は2度にわたって破壊行為の被害を受けた。


修復された貞子像にはいまも地元の子どもが折った折り鶴が捧げられているという。

この貞子像への破壊行為を連想させる事件が起こった。当ブログの読者の方ならご存知、「論破プロジェクト」の藤井実彦が台湾の慰安婦像を蹴るという侮辱行為を働いたというのだ。
https://udn.com/news/story/6656/3358195
むろん、日本の右翼の言い草は簡単に想像できる。「原爆の被害は真実だが、慰安婦問題は捏造だ」 しかし貞子像を破壊した人間――まず間違いなくアメリカ人――もこういうだろう。「原爆は戦争を早期に集結させ多くの人命を救った。原爆投下が非人道的な行為だというのは捏造だ」と。つまりここに見られるのは「国境を超えた歴史」と「国境に制約された歴史」の対立なのだ。