昨夏の番組から

年末年始に多くの番組を録画したせいでHDDレコーダーの空き容量がかなり減ってしまったので、「録画したけど観ていなかった番組」「観たけど円盤に焼いていなかった番組」を消化する作業をしたのですが、そうした番組からいくつかご紹介。

まず昨年8月3日放送の「昭和の選択 幻の航空機計画〜軍用機メーカー中島飛行機の戦争」。富嶽の開発を軸に中島飛行機の創業者中島知久平をとりあげたもの。番組が終わる直前にちょっと興味深いシーンがあった。

いわゆる“締め”のコメントが求められるタイミングで、ゲストの小谷賢が富嶽に関わった技術者たちについて「程度の差こそあれ、彼らも中島知久平と同じく戦後を見据えていたんだと思います。戦後、自分たちの技術でどういうふうに日本の復興に貢献するか、程度の差こそあれみんな漠然とそういうことを考えていたんだと思います」とコメント。ここでYS-11の開発にも関わったという元航空技術者の鳥養鶴雄氏が猛反発。

それほどゆとりなんてなかったと思います。ちょっといいですか? 私、そういうひとたちが上司だったわけです、戦後飛行機〔開発〕の世界に行った時に。中島飛行機の技術者だった方たちは、戦争中のことは、あとから来た我々、戦後派の我々に決して語ろうとは〔しなかった〕−−技術の基本ってことは話すんだけども。戦争でひとを殺したということを、敵も殺したけど味方も特攻機でみんな死んだ。(中略)もう飛行機は絶対にやらないと決めた方もいます。富嶽をやった方たちは絶対にそれを誇ることはない。(後略)

ありがちな落とし所へと向けた進行に真っ向から逆らう発言で、他の出演者はことごとく沈鬱な顔をしていました。

追加:なおこの番組の直前に同じチャンネルで放送されていたのが映画『メンフィス・ベル』でした。

もう一つは9月27日放送のNHK特集「アメリカは謝罪すべきか〜日系人強制収容の結末〜」です。アメリカ政府はとっくに謝罪しているのにいまさら「謝罪すべきか」とはなんなんだ? と思って録画したきり観ていなかったのですが、お気づきの方もおられるようにこれ「NHKスペシャル」じゃなくて「NHK特集」なんですね。1983年の番組を新たに放送したというわけです。

大統領によって設置された委員会の公聴会ではもちろん補償に反対する関係者もいました。番組で紹介されていたのは元陸軍次官ジョン・マッケロイです。「40年も前のことですよ それを今更−−」「では硫黄島で死んだ人たちの賠償はどうなんですか」……日本の右翼の言い草とそっくりなので納得するやら嘆息するやら。

最後に語学番組「中国語!ナビ」の第21回。中国語圏で活動している日本人を紹介するコーナーに、『南京!南京!』(ただし番組では「日中戦争を描いた作品」としか紹介されない)に出演した木幡竜氏が登場していました。この映画への出演をきっかけに中国語映画界でのチャンスを掴み、決して平坦な道のりではなかったものの昨年には主演作が日本公開されるまでになった……という内容です。