「戦争だからそういうこともある」という論法について

南京事件などの日本の戦争犯罪については、事実そのものは必ずしも否定せず、「戦争だからしかたない」「そういうこともあるのがあたりまえ」とするような免罪論も存在する。
そりゃたしかに戦争がなければ戦争犯罪もない。戦争なんてそんなもんだ、と言えば言えよう。だがその場合、東京大空襲や広島・長崎への原爆についても同じように言わねばならなくなるし、極東軍事裁判やシベリア抑留についても同じように言わねばならなくなる(極東軍事裁判が開かれた時点では、戦争は終結していなかったことに注意)。民間人の殺害、強姦、略奪、放火について「戦争だからしかたない」と考える人が、手続きにちょこっと瑕疵があるからといって東京裁判の不当性を訴えるのはダブスタもいいところだ。



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