朝日新聞「新聞と戦争」

朝日新聞夕刊で連載されている「新聞と戦争」、現在は「社論の転換」と題して朝日新聞が戦争協力へと傾斜していった経緯が描かれている。アジア・太平洋戦争における日本軍の行動を批判的に論評すると怒るくせに、なぜか朝日新聞の戦争責任を指摘することは忘れない古森義久氏はこの連載を読んでおられるのだろうか。
さて、9月8日(火)連載分に次のような記述がある。

 〔満州〕事変勃発時の外相、幣原喜重郎は28年秋、講演でこう語っていた(国会図書館憲政資料室所蔵資料「外交管見」)。「世界各国を通じて一般の民衆」は、外国との間で問題が起きると「対手国の主張が常に不正不当」というような「先天的偏見」を抱く。「公平なる意見を公表する者」は愛国心を疑われ、「対手国に対する反感を煽動する者は……聴衆の喝采を受ける」。
 満州事変以降、社説が振るわないのはなぜか。
 時事新報の編集局長などを務めた伊藤正徳は「読者大衆の感情を察し、なるべく之を損しない範囲内」で立論する「筆法」を理由に挙げ、「大衆の欲求する方向に社説を妥協」させたと自戒を込めて述べている(『昭和九年新聞総覧』)。
(原文のルビを省略)

いまもって古びない観察ですな。伊藤正徳のことばは橋下弁護士にも耳をかっ穿じって聞いてもらいたいものです。