「密約」文書、暴露?

YOMIURI ONLINE 2008年8月2日

訴追免除の密約を主張…カラジッチ被告


 【ブリュッセル=尾関航也】旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷は1日、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦時のセルビア人勢力指導者ラドバン・カラジッチ被告が7月31日の初出廷の際に示唆した米政府との“密約”を詳述した文書を公表した。


 文書は同被告が出廷後に提出した。


 文書の中で被告は、内戦の調停にあたったホルブルック米国務次官補(当時)が1996年、被告に対し、公職引退などの見返りに訴追の免除を約束したと主張。後に、オルブライト米国務長官(同)も、ロシアかギリシャセルビアのいずれかで暮らすよう提案したとしている。


 同法廷が訴追断念に応じなかったため、密約の公表を恐れた米政府は被告を「清算(殺害)」する方針に転じたという。ホルブルック氏は米メディアなどに、密約説を全面否定した。

被告側が密約の存在を主張、というニュースはすでに報じられていたのだが、その密約が文書化されていた、ということらしい(どのような性格の文書なのか、はこのニュースからはわからないが)。なおホルブルック元国務次官補は次のように語っているという

"Karadzic's capture is another reminder of the value of war crimes tribunals," Holbrooke writes. "Even though 12 years-plus is an inexcusably long time, the war crimes indictment kept Karadzic on the run and prevented him from resurfacing."

アメリカの国際刑事裁判所に対する態度を考えるとちょっと白々しい感じもするが・・・。仮にこうした密約の存在が事実だったとしても、密約が結ばれたこと自体戦犯裁判が国家指導者に対するプレッシャーになりうることを示していると考えることはできる。もちろん、密約によって責任追及を逃れおおせたとすれば、ICCの実効性にケチをつける声が出てくる可能性はあるが、かといって密約を反古にしてしまうとある一線を越えた指導者に「こうなったら行くところまで行くしかない」と思わせかねないし。もしこの種の密約が、確実に紛争の終結を早め、それにより数多くの人命が救われることが予期できるならば・・・