「南京問題小委員会」、“研究”成果を堂々公刊!

本館の掲示板でdj19さんからご教示いただいたはなしですが、戸井田とおる議員らの「南京問題小委員会」が『南京の実相 国際連盟は「南京2万人虐殺」すら認めなかった』(水間政憲著、日新報道社)を刊行したとのことです(丸坊主日記、「南京の実相」)。昼休みに本屋にいってみたもののまだ店頭には並んでいなかったのですが、掲示板で「名無しさん」もコメントされているように、サブタイトルから判断する限りこれまで戸井田議員周辺から聞こえてきたはなしと大して変わらないようです。
南京事件否定論にある程度接しているひとであれば一度は「これ、本気で信じてるのかな?」と疑問に思ったことがあると思うのですが、なかでも1938年の国際連盟理事会を引き合いに出すこの種の否定論はそうした疑問をもっとも強くかき立てるものの一つです。というのも、現在日本は北朝鮮による国家犯罪の被害者を出した国として、国際社会が必ずしもそうした犯罪の調査・処罰・被害回復に最優先でとりくむわけではない、という事実に直面しているからです。「テロ支援国家」指定が解除されたら拉致問題はなかったことになる、とでもいうのでしょうか? また国連に代表される国際機関への懐疑論(左派とても国連の現状に満足しているわけでは全くないが、一般的に言って右派の方に目立つ)はまさに、国際政治の力学によって正義の実現が阻まれてしまうことがしばしばある、というところに大きな根拠をもっているはずです。にもかかわらず「国際連盟が非難決議をしなかったから、虐殺はなかったのだ」と信じることができるのは相当な自己欺瞞なしには不可能である、と言わざるを得ないでしょう。