元抑留者に給付金?

 第2次世界大戦後、旧ソ連によってシベリアに抑留された元日本兵ら計57人(うち5人は死亡)が、国に1人当たり1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、京都地裁は28日、原告側の請求を棄却する判決を言い渡した。


 一方で、吉川慎一裁判長は「抑留被害は深刻かつ甚大なものだった」とし、現在まで補償を定めた立法や予算措置がないことに触れ、「政治的決断に待つべきもの」と指摘した。原告団は「今後、速やかな政治的解決を求めていく」としている。
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 約60万人ともいわれる日本人将兵らが戦後、旧ソ連圏で過酷な強制労働に従事、多くの犠牲者を出したシベリア抑留をめぐり、政府は28日までに、最高1人150万円の特別給付金を支給する法案をできるだけ早期に国会に提出し、成立を図る方針を固めた。


 戦後処理の終結を理由に、感謝状や旅行券などによる「慰藉」の事業に限定してきた自民党政権の原則を転換、現金支給により「補償」の性格をもたせる。


 韓国人元BC級戦犯や元従軍慰安婦が求めている他の戦後補償にも影響を与えそうだ。


 元抑留者の平均年齢は80代後半。元抑留者が国家賠償を求めた訴訟で京都地裁が28日、請求を棄却しながら、立法措置の必要性に言及したことなどから対応を急ぐ。
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戦後補償裁判では判決が原告の請求を斥けつつも立法措置をうながすことが度々あったが、政府は「補償」の意味あいを明確にした措置をとることに一貫して消極的であったので、京都地裁の判決もさることながら政権交代の効果が出たかたち。具体的にどのようなかたちで「「補償」の性格」が表現されるかに注目したい。
なお、本日(10月30日)の参院本会議では、原爆症の認定基準についても新制度を検討する旨を鳩山首相が発言したとのこと。