師団長が対米開戦批判

ちょっと興味深いニュースを見かけました。

英米開戦当時に第17師団の師団長だった陸軍中将平林盛人が、部下の将校40人ほどを前に「泥沼化している中国戦線を未解決のまま米英軍を相手に戦う余力は、今の日本にはない。負け戦と分かっている戦争は、絶対にやってはならない」などと開戦の判断を激しく批判していたことが、元副官らの証言で初めて明らかになった、とのことです。引用されている秦郁彦氏のコメントは次の通り。

■現代史家の秦郁彦さんの話…昭和16年の12月29日は「勝った勝った」で浮かれていた時期で、現役の師団長がここまで厳しく対米英開戦を批判するのは異例のこと。人事権を持つ東条首相兼陸相に対する思い切った言動には、びっくりした。平林と同期の石原莞爾が東条批判をしており、石原との交流の影響もあると思う。

素朴に考えれば故人の名誉を傷つけるようなエピソードではないのになぜこれまで明らかにされてこなかったのか、も気になるところです。旧軍人なりの屈折した心理ゆえに単純に「先見の明があった」というもちあげ方はできない、ということだろうか……など。