放送予定

近現代史の戦争の中で、もっとも凄惨な戦いとされる沖縄戦。日本側の死者は18万人以上、米軍側の死者も1万人を超える。
ピュリツァー賞作家、デール・マハリッジは海兵隊員だった父が死ぬ直前、「自分は太平洋戦争末期、沖縄戦に加わり、多くの日本人を殺した」と告白を受ける。デールの父は、戦場から持ち帰った多くの遺品を遺族に返してほしいと言い残し、息を引き取った。父は生前、デールに一度も笑顔を見せず、絶えず何かに怯え続けていた。父をあれほど、苦しめたものは何だったのか、デールは父と同じ部隊の生き残りを探し、全米を訪ね歩いた。その結果、父の所属した部隊は沖縄戦で240人中31人を除いて、みな戦死したこと、生き残った人たちも多くがPTSDに苦しみ続けたことを知る。今年4月、デールは父の託した遺品を持って、初めて沖縄の地を踏んだ。それは、デールが全米で集めた貴重な証言や資料と、日本側の証言を付き合わせ、これまでベールに包まれてきた沖縄戦の実像を浮かび上がらせる旅でもあった。
番組では、アメリカと沖縄のデールの旅に密着しながら、沖縄戦の過酷な現実をアメリカ人ジャーナリストの目線から、浮き彫りにする。
(http://www.nhk.or.jp/special/onair/110619.html)

戦没者の遺品返還については先日放送された番組でもとりあげられていました。

  • 5月31日 フジテレビ系列 第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『日本人の忘れもの』

 戦後、日本は目覚ましい経済成長をとげ、“豊かさ”と“平和”を手にした。一方で、沖縄などかつての戦地には、まだ多くの遺骨が残されたままになっている。第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『日本人の忘れもの』(制作:サガテレビ)では戦没者の遺骨や遺品の返還をしている佐賀県NPO法人の活動を通して、戦後日本が忘れてきたものを今一度見つめ直す。
(後略)
(http://www.fujitv.co.jp/b_hp/fnsaward/20th/11-103.html)

「戦後の平和と経済的繁栄は戦没者のおかげ」というクリーシェがことあるごとに繰り返されてきたわけですが、では豊かになった日本社会がその戦没者のためになにをしてきたのか? を問う番組でした。
もちろん、「日本人の忘れもの」は戦没者の遺骨や遺品に限りません。前回のエントリでとりあげた「花岡和解」問題もとりあげた『世界』の連載をまとめた『虜囚の記憶』(野田正彰、みすず書房)で紹介されている「拉致被害者」の人生は、この社会が被害者の声をどれほど無視してきたかを思い知らせてくれます。