松木兼治郎の沖縄戦手記、復刊

今日は沖縄の「復帰」40年目の日にあたります。これを機に、阪神タイガース創設当時の選手である松木謙治郎の手記、『阪神タイガース 松木一等兵の沖縄捕虜記』が復刊されるそうです。

私は数年前に古書店で買って読みました。当初刊行されたのは沖縄の復帰直後、1974年のことです。まだこの数年ほどには元日本軍将兵が旧軍の負の側面を自由に語れる時代ではありませんでしたが、他方で近年のような沖縄戦の歴史を巡るバックラッシュもなかった当時のことです。記事で紹介されている「知り合った沖縄の一家が日本軍の下士官に壕(ごう)から追い出され、砲弾の犠牲になったこと」の他、負傷した民間人が自決したいというので擲弾筒の弾を渡した体験などが率直に書いてあります。自身の体験ではありませんが、「渡嘉敷の自決事件」という一節もあり、「集団自決」した民間人の心理について「たしかに当時は、私たち兵隊ばかりでなく、一般国民も軍から教育されてその心境になっていた」と、軍の責任を認める記述もあります。