いまになってもまだ「捏造写真」論

自分の所行を棚に上げて在特会らを批判した『SAPIO』ですが、8月号は「歴史修正主義特集号」とでもいうべき内容で、その一部が「NEWSポストセブン」に転載されています。

この手の論法に対しては(1)そもそも写真は「証拠」としては事実上不要であることと、(2)「全てが」というのは(村瀬写真などの)否定派に都合の悪い写真をみんな無視すればのはなしでしかない、という2点を指摘すれば十分でしょう。『南京事件証拠写真」を検証する』には村瀬写真の一部が小さく掲載されているのですが、写真集で見れば後ろ手に縛られた遺体(通常の戦闘行為によるものではない)がはっきりと写っていたりするんですね。
それに加えて、「合成」だの「ヤラセ」だのとする根拠の方がいい加減だったりすることも少なくありません。この記事でも東中野センセイの「刀を持つ男はチャンチャンコのようなものを着ているが、将校、下士官、兵を問わず、このような服装をした軍人は日本軍には存在しない」といった“検証”が引用されているんですが、「このような服装をした軍人は日本軍には存在しない」などということが言えるためには(1)日本軍の軍紀がしっかりしており、(2)正規の軍装がきちんと支給されている(消耗分への補給も含めて)という条件が常に満たされていたことが前提になります。しかし現実がそうでなかったことは当ブログでも繰り返し指摘してきた通りです。(2)については『季刊 戦争責任研究』第58号で紹介されている史料にも、「鉄帽は五分の一位しか支給されず、それも英兵の様な型で変なものであった。服は暑い盛りに冬服を着せられた(補給できぬ為)」といった記述があることを紹介しておきました。