「軍資金で強制連行もみ消し」証言の聴取者は豊田隈雄・元海軍大佐

先日林博史関東学院大学教授が公表した三警事件関連資料のコピーの一部をみることができたのですが、元海軍兵曹長の「もみ消し」証言を聴取していたのは豊田隈雄・元海軍大佐であったことがわかりました。敗戦後に戦犯裁判対策に関わった人物で、法務省の事業として行なわれた戦犯裁判関係者への聞き取り調査も行っています。おそらく、日経新聞の井上亮記者が調べたのと同じ資料の中に含まれていたものと思われます。
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20100914/p2
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20111021/p1
もう一つわかったのは、この元兵曹長は本来予定されていた取材対象者ではなかった、ということです。別人に聞き取りを行なったところ、この本来の取材対象者が電話で元兵曹長を呼び出していたので「併せて聴取」したと記載されています。取材対象者の気まぐれというか思いつきによってこのような資料が残された、というわけです。なお、本来予定されていた取材対象者は、聴取が行なわれた当時(昭和37年とされています)の職業から推測するに、軍法務官ないし法務官僚として戦犯裁判に関わっていた人物のように思われます。