『戦史叢書』がオンライン公開中

何年か前に『戦史叢書』(防衛庁防衛研究所戦史室)をオンライン公開する計画のニュースを読んでいたのですが、最近は『戦史叢書』を参照しなければならないような記事を書いていなかったこともあり、それっきりになっていました。先日、ふとしたことから実際に公開されている(2018年6月に開始、その後随時追加)のを確認しました。こちらのページの「戦史叢書の検索・閲覧はこちら」というリンクから検索、閲覧ページに移ることができます。

『戦史叢書』については補備6巻を除く全96巻が完結した段階で藤原彰さんが『歴史学研究』第451号(1977年12月)に書評を書き、「作戦参謀の立場から書かれた作戦史という面がきわめて強い」としています。他に否定的な評価として「個々の作戦の記述は詳しいが、相互の関連と全体の中での位置づけがあまり行われていない」「旧軍の陸海軍の対立をそのまま持ち越したかのよう」ともされています。その一方で「旧軍戦史よりははるかに多面的」「戦争を様々な角度から記録しようとしていることが伺える」とも評価しています。

旧軍出身者が編纂や執筆に関わっていることからくる弁明を度外視しても、その後に発見された史料や証言によって内容的に古くなっている点は多々あるでしょうが、1960年代から70年代にかけて、旧軍出身者があの戦争をどう捉えようとしていたかを理解するうえでは、いまなお価値のある戦史と言えるのではないでしょうか。