イラク駐留米兵の強姦殺人容疑

もう1ヶ月も前のニュースなのだが、つい言及しそびれていたので。


イラク駐留の5米兵、強姦殺人か 家族ら4人犠牲
asahi.com 2006年07月01日10時23分

イラク駐留の米兵たちが今年3月、同国中部の民家で女性を強姦(ごうかん)したうえ、その女性を含む家族計4人を殺害した疑いが浮上した。米軍が洗い出しを進めている、米兵によるイラク市民への暴行・殺害の中でも深刻な事件の一つになりそうだ。


現場はバグダッドの南30キロの町マフムディヤ。AP通信によると、女性の遺体は焼かれており、証拠隠滅の疑いもある。米陸軍兵5人が容疑者とされ、うち1人は関与を認めて逮捕された、と米軍関係者が同通信に語った。残りの兵士たちは武器を没収されてマフムディヤ近くの米軍施設に拘束されているという。
(中略)
米軍による事件としては、昨年11月に西部ハディサで女性や子供計24人が殺害された問題のほか、複数の市民殺害疑惑が浮上。6月21日には海兵隊員ら計8人が起訴された。イラクのマリキ首相は米軍に徹底調査を求めている。


現在イラクに駐留している米軍がおかれている状況は、上海戦〜南京攻略戦における日本軍のそれと多くの共通点をもつ。戦争目的の不明確さ、ゲリラ戦で抵抗する敵、民族蔑視、当初の想定より長期化する戦い…。このような状況においては、起こるべくして起こった事件であると言えよう。こうした状況を招いた根本的な理由である「大義なき戦争」「民間人に犠牲者がでることを厭わない作戦」を回避する努力もさることながら、せめて事後的にであれこうした犯罪をきちんと裁くことができれば、今後への抑止効果が期待できる*1。米軍の対応に注目したい。この種の犯罪が起こった場合に、それを隠蔽するのではなく、きちんと裁くことができることこそが「国の誇り」であり「国家の品格」であろう。

*1:通常の刑事犯罪以上に、戦場でのこうした犯罪は見過ごされがちなので、「厳罰化」はともかく検挙率を上げることには抑止効果があるだろう。