安倍首相の答弁を擁護してみよう

くさすばかりでは芸がないのでたまには擁護してみようかな、と。

A級戦犯の戦争責任、政府断定は不適当…首相答弁
 安倍首相は2日午後の衆院本会議で、首相就任後初の各党代表質問に対する答弁を行った。


 首相は、昭和戦争に関するA級戦犯の戦争責任について「先の大戦昭和戦争)に対する責任の主体については、さまざまな議論がある。政府として具体的に断定することは適当ではない」との見解を示した。


 連合国がA級戦犯を裁いた極東国際軍事裁判東京裁判)については、「我が国はサンフランシスコ講和条約により、裁判を受諾しており、国と国との関係において、この裁判に異議を述べる立場にはない」と語った。
(2006年10月2日21時16分 読売新聞)

「責任の主体については、さまざまな議論がある」というのは確かにその通りですね。最大の焦点は昭和天皇の戦争責任をどう考えるか、ですが。また、A級戦犯として訴追されなかったからといって政治的・倫理的な責任を免れるわけではありません。自分の祖父の戦争責任を改めて議論の対象にすることを主張するなんて、立派じゃないですか! 政治家、軍人だけでなくマスコミ、財界、知識人の責任も考えられねばならない。「一億層懺悔」は当然あるはずの責任の軽重を曖昧にするがゆえにうけ入れがたいわけですが、しかし結局のところ多くの国民に支えられて初めてあの戦争は可能だったわけです。
また、法的な責任はともかく、政治的・倫理的な責任は確かに政府が「具体的に断定」するのは適当ではないでしょう。政府が責任者を名指ししたところで国民が「政府がそう言ってるってよ」という態度しか示さなければなんの意味もないわけです。東京裁判を日本政府が受諾することによってひとまず決着した法的責任は別として、政治的・倫理的責任はまだまだ広く議論される必要があるでしょう。


もっとも、講和条約により日本は戦犯裁判を受諾した、という見解を再確認したのですから、法的責任に限っていえば「誰が責任者か?」の答えは明確であることにも言及しておいてもらいたかったですけどね。