一兵士が写した戦場の記録

dempaxさんからご教示いただいた、『新版 私の従軍中国戦線 村瀬守保写真集 <一兵士が写した戦場の記録>』(機関紙出版)を購入しました。村瀬氏は従軍カメラマンではなく、趣味のカメラをもって出征し中隊の記念写真を撮っているうちに、半ば公認の「中隊写真係」になったとのこと。日本軍の将兵が機密保持意識に乏しかったことはよく知られている(太平洋戦線の米軍は、日本兵の残した日記等から貴重な情報を得た)が、この場合も「記念写真が欲しい」「家族に送りたい」という気持ちが勝って写真撮影を黙認されたということだろう。
さすがに最前線の兵士が撮った写真だけあり、報道写真(不許可写真を含む)より被写体に肉薄した写真が多い。なかには、通訳を介して私娼と交渉中とおぼしき兵士(下士官かな?)の写真まである。南京攻略戦に関しては、揚子江で死体を鈎にかけ沖へ流す工兵隊の写真が目を引いた。