「百人斬り」訴訟、ダメ記事の見分け方
旧日本軍の「百人斬り」めぐる訴訟 本社などの勝訴確定
旧日本軍将校2人が中国で1937年、中国兵を日本刀で殺害した人数を競う「百人斬(ぎ)り競争」をしたとする当時の新聞報道や、後にこの問題を扱った書籍を巡り、2人の遺族が「うそを書かれ故人を慕う遺族の気持ちを傷つけられた」などとして、朝日、毎日両新聞社などと本多勝一・元朝日新聞記者に出版差し止めや計1200万円の損害賠償などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷(今井功裁判長)は22日、遺族側の上告を棄却する決定をした。朝日新聞社などの勝訴が確定した。
(後略)
たぶん原告の敗訴確定をうけて「不当判決!」というサヨクっぽいスタイルのエントリがいくつか書かれ、来月号の『諸君』か『WiLL』には稲田朋美あたりが投稿するんじゃないかと思うのだが、その際「日本刀で100人も斬るなどということは不可能」とか「左翼は両少尉が百人斬ったと主張している」といった文言があれば、その記事は読むに値しません。裁判の争点(ないし/それに加えて「百人斬り」をめぐる歴史学的な議論の争点)をまったく理解できていないか、故意に歪曲していることが明白なので。
それにしても疑問なのは、原告側弁護団はきちんと調査をしたうえで訴訟を起こしたのだろうか? という点。もともと無理筋の訴訟であるところに加えて第一審の過程で“捕虜の据え物斬り”を行なっていたという証拠が出てきてしまう藪蛇ぶり。その後も勝ち目のない控訴、上告で遺族と両元少尉を晒しものにしたわけだ。極めて悪質な、遺族感情の政治利用であろう。