『統帥乱れて』
先週、どこかで(って、ブクマかなにかしないと最近すぐ忘れてしまう…)北部仏印進駐について書かれた文章を読んだら、週末に古本市で発見、というシンクロニシティ。
大井篤、『統帥乱れて 北部仏印進駐事件の回想』、毎日新聞社
著者は当時第二遣支艦隊参謀。「平和的」に―その実、火事泥的に―行なわれるはずだった北部仏印進駐に際し、出先の陸軍部隊(南支那方面軍)は軍中央の意向を無視、第5師団が国境付近でフランス軍と交戦、西村兵団(参謀長は長勇!)は海軍の反対を押し切り、海軍の援護なしに上陸するという挙にでた…という事件を海軍側の視点から回想したもの。もちろん、海軍も「南進」という国策それ自体には異を唱えていないわけで、「海軍善玉」史観に絡めとられてしまわないよう、気をつける必要はあるが。
ちなみに、上陸した西村兵団長が最初に行なったことの一つは…。
インドシナでは、一九四〇年九月に日本軍が北部仏印に進駐した。その直後にハイフォンの司令部で司令官西村琢磨中将と参謀長長勇大佐が葡萄酒を飲みながら、慰安所を急いで作れと「気炎をあげて」いた(12)。おそらく占領後まもなく慰安所が設置されたのではないかと推測される。
(http://www32.ocn.ne.jp/~modernh/paper22.htm)
Amazonでは古書に5千円の値がついているが、1,200円で買えた。
もうひとつ、集英社の『昭和戦争文学全集 別館 知られざる記録』(1965年刊)も500円で購入。近衛の「平和への努力」とか本庄繁の「天皇と二・二六事件」などと並んで佐々木到一の「南京攻略記」が収録されている。この攻略記、12月7日以降の分は『南京戦史資料集』に収録されているのだが、こちらは上陸前からの分が収録されているのがお値打ち。後日改めてご紹介したい。