こういうのは「指摘」とはいわない

先日は名古屋市で、市が後援を決めていたイベントで南京大虐殺記念館所蔵の写真が展示されることを理由に、後援を撤回するという出来事があったばかり( felis_azuri さんが詳しく紹介しておられます)。今度は……。


MSN産経ニュース 2009.2.12 「「日本史に不適切設問」つくる会が指摘

 新しい歴史教科書をつくる会藤岡信勝会長)は12日、大学入試センターに対し、先月行われたセンター試験の日本史問題について「南京での虐殺事件や、関東軍による張作霖爆殺事件など、学会でも異説がある事柄を歴史事実として扱っており、入試問題として不適切」とする申し入れ書を送付した。2月末までに見解を示すよう求めている。
 同会は「南京で虐殺事件が起き、河本大作が爆殺の実行犯と断定しなければ解答できず、特定の歴史認識を強要、誘導する設問」と指摘している。

この時期にはよくみかけるニュースと体裁だけは似ていますが、中身はまったくちがいます。「学会」ってのは「日本「南京」学会」みたいな“なんちゃって学会”のことじゃないですよね? かつて「つくる会」理事を務めた伊藤隆氏でさえ、張作霖爆殺は関東軍(河本大作)の犯行だとして、スターリン陰謀説を斥けているんですが。張作霖爆殺=ソ連犯行説を言ってまわっている中西輝政氏とか櫻井よし子氏って歴史「学会」の人間じゃないですよね?


誰がみても現行の歴史教科書に準拠している設問にクレームを付けてみたところで大学入試センターが妙な対応をするとは思えませんが、こういうクレームの積み重ねが「面倒だから入試に出すのは避けよう」という判断を大学関係者に誘発する怖れは絶無とは言えないでしょう。名古屋市の場合も、報道から判断する限り特定の写真について名古屋市なりに「事実に反する」という判断をして後援を撤回したとは考えにくいですし。「社会は歴史修正主義を支持していない」と関係者が思えるような環境をつくってゆく必要があります。