もう一つの訂正
(ドレスデン爆撃の犠牲者数については、以前から約2万5千人とする説がありましたので「訂正」されたわけではないとも言えますが。)
- asahi.com 2010年3月19日 「「死の行進」写真説明を訂正 AP通信、65年前に配信」(魚拓)
【ニューヨーク=田中光】AP通信は18日、65年前に配信した第2次世界大戦時の写真について、「バターン死の行進」とあった写真説明を、「行進の後」と訂正した。生存者の証言がきっかけで調査が進み、歴史的な写真の訂正は珍しいという。
(後略)
写真というのは撮影時の状況がきちんと記録されていないと怖い資料だ、ということが改めてわかります。私も以前、上海での市街戦を撮影した写真を紹介する際に、うっかり「死体」と書いてしまい、後で「死亡しているとは限らない」ことに気づいて補足したことがあります。
他方で、この写真の誤りによって「バターン死の行進」の史実性はまったく揺るがない、という点にも注意する必要があります*1。以前にル・モンド紙が「原爆犠牲者のもの」として掲載した写真が実は関東大震災の被災者を写したものだと判明した、ということがありましたが、これによって広島への原爆投下が史実かどうか疑わしくなった、などと考える日本人はまずいないでしょう。ところが、旧日本軍の戦争犯罪の場合には、こういうバカなことを言う人間が現われるわけです。
guldeen photo, media, history, war で、歴史的写真のキャプション訂正はいいけど、これを典拠とした賠償問題とかってどうすんのよ。 2010/03/20
(http://b.hatena.ne.jp/entry/www.asahi.com/international/update/0319/TKY201003190237.html)
*1:逆に「日本軍は、死んだ同僚を運ぶために行進が遅れることを許すはずがない」という生存者のコメントが報道されて、日本軍の残虐行為に関するアメリカ人のパブリック・メモリーを喚起する機会になってしまった可能性すらあります。