日本軍も「事後法」で戦犯を裁いていた?

日本軍はドゥーリットル隊による空襲を受けて、無差別爆撃を行なった爆撃機の搭乗員を処罰するための「空襲軍律」を制定した。『法廷の星条旗』では空襲軍律によりB29の搭乗員を処刑した事件についての戦犯裁判がとりあげられているが(後述)、問題は爆撃後中国の日本軍占領地域に不時着して捕まったドゥールットル隊の搭乗員の処分である。無差別爆撃の違法性はハーグ陸戦規定(非戦闘員への攻撃の禁止)等から主張しうるが、他方空襲軍律が制定されるまでは無差別爆撃を行なった敵国搭乗員を処罰するための具体的な規定は存在しなかった。捕獲されたドゥールットル隊の隊員は捕虜としては扱われず、事後法たる空襲軍律によりすべて処刑された。この軍律裁判に関わった人間も戦後戦犯として訴追されているが、そのケースについてはまた調査のうえご報告させていただくことにする。