映画 Nanking の観客動員
テッド・レオンシス他製作、ビル・グッテンタグ監督の映画 Nanking について、『正論』10月号の「映画「南京の真実」製作日誌 水島総」はおおよそ次のようなことを述べています。中国のいくつかの都市で公開された Nanking の観客動員が5万人であったと7月半ばにスタッフからの連絡があった、上映回数で割ると1回あたり52人しか見ていない計算になるから興行的には失敗だ、と。しかしテッド・レオンシス氏のブログを見ると映画が中国で公開されたのは7月上旬で、ということは最初の1、2週間で5万人が観たということになります。そして現在までの観客動員がどうなっているかというと…
We have almost hit 11 million RMB in box office sales in China which means more than one million people have bought tickets to see Nanking the film. This translates to about $1.3 million US dollars so Nanking is selling briskly outside of the US.
拙訳:我々は中国で1,100万人民元弱の売り上げを記録した。これは映画『南京』を観るために100万人の人々がチケットを買ったことを意味する。換算するとこれは130万米ドルとなり、『南京』は海外で好調ということになる。
(One Million People)
例えばマイケル・ムーアの『シッコ』は関西ではだいたいキャパ100人くらいのスクリーンで上映されていて、私が観たときには70人くらい入っていました。『ハリポ』や『パイカリ』みたいなブロックバスターじゃないんですから、これくらい入っていれば「今日は混んでるな」と感じるものです。映画『南京』は主題が重いうえに、中国では他の南京事件関連映画とも競合しているわけです。さらに中国社会の経済格差を考えると人口が日本の十倍以上だから映画のマーケットも10倍、とはいかないわけですが、あえて10で割って、日本でドキュメンタリー映画が10万人を動員するのが簡単なことか? 昨年かなり話題になった『蟻の兵隊』でも観客動員が1万人を超えると当事者の予想を超える「大ヒット」だったわけです(トータルでは2万人を超えたようです)。
さあ、上映1回あたり観客52人だと興行的には失敗だ、とデカイことを書いた水島監督の『南京の真実』は一体どれくらいの観客を動員するのでしょうか。来年にずれ込むらしい公開が楽しみです。