沖縄「集団自決」を巡る教科書検定について:新文科相「適正に経過」

本放送を録画し損なってしまった「証言記録 兵士たちの戦争」シリーズの「“ベニヤボート”の特攻兵器 〜震洋特別攻撃隊〜」の回、本日無事に録画できました。元隊員の方の「最期の棺桶がベニヤ板とはな」とか(最初に震洋を見たとき)「げんなりした」といった証言が特に印象に残ります。いずれも(平和な時代に生まれた者なりに)よくわかる心情ですが、他方で「持てる技術のすべてとふんだんな資源をつぎ込んだ兵器であったら“死に甲斐”を感じさせることがより容易になるのか?」という問題も感じるからです。もちろん現実問題としては、技術面でも資源面でもアメリカに大きく遅れをとったがゆえに出てきた作戦が特攻であったわけですが。なお番組では軍令部が搭乗員の脱出方法を検討したことにも触れていましたが*1、証言者によれば搭乗員(予定者)には「生きて帰れない」作戦であるという説明がなされていたとのことです。
次回の放送は来週です。

  • 11月28日 (土) 午前8時00分〜 BShi 証言記録 兵士たちの戦争 「南太平洋 失敗した偽装病院船作戦 〜広島県・歩兵第11連隊〜(仮題)」


さて、いろいろと話題になっている民主党の“手のひら返し”から2点。一つは平野官房長官自衛隊イラク派遣に関する党の立場を180度変えた政府見解を述べたこと。
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091119AT3S1903919112009.html
掲示板でデミトリーさんが紹介してくださっているように、「民主・社民両党の有志の国会議員」がアメリカの戦争を「支持」したことについて検証を求めることにした、といった動きも報じられていたわけですが、この様子だと前途はなかなか多難そうです。
もう一件は震洋特別攻撃隊も出撃を命じられた戦場、沖縄戦について。
http://news.google.co.jp/news/more?pz=1&cf=all&ned=jp&cf=all&ncl=dBRr9A169annMXMQLc5qZnMjzxvbM
現時点では沖縄の地方紙の記事しかないようですが。

 川端文科相は18日の衆院文部科学委員会で同検定意見について「日本軍の関与がなかったという意見ではない」と問題がないとの認識を示し、その上で、検定意見が撤回されていない現況を含め「適正に経過していると認識している」と述べた。

先の自衛隊派遣に関する変節同様、「違憲だった」「適正でなかった」という立場を政府としてとれば野党時代とは違って直ちに「ではどうするのか?」という問題に直面します。過去の政権で行われたことについて後の政権が「違憲であった」とした場合にはどのようなことがなされねばならないのか、などといったことについては(おそらく)前例なんてないでしょうから、他にもいろいろと懸案を抱えている状態で軽々に判断を下せない……ということであればまだ同情の余地はあるでしょう。しかし「日本軍の関与がなかったという意見ではない」から「適正」だったという説明は納得のゆくものではありません。というのも、そもそも検定前の教科書の記述には「軍命令に従って」という記述がなかったにもかかわらず(すなわち「日本軍の関与」を示す記述であったにもかかわらず)、検定意見は「日本軍の関与」についての記述を弱めようとした、というのが事実なのですから。

*1:実効性のある脱出方法は開発できなかった、という説明とともに。