どこまでも不誠実

http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080807/p1
の「(追記)」部分。

(1)例の論争(そもそもの発端が何であったかさえもうよく分からなくなってしまったが)でホロコーストが例示されるのは果たして適切だったか? もっともhokusyuさんとApemanさんがそうだと言うなら、そうなのだろう。どうもhokusyuさんはドイツ史の専門家であらせられるようだし、Apemanさんも戦争犯罪について長年、独りで延々と読書と思索を重ねられてきた方のようだ。お二方とも人類が行ってしまった歴史的愚行について何年も何年も大マジメに考え続けてきたのだ。それだけの篤い学識をお持ちになる方々の警鐘や啓蒙が理解できない者は確かに「あたまがわるい」のかもしれない。

君は「わからない」と言い募るだけでなく「場違いな場で」「場違いな文脈で」と言い、根拠もなく「声高に」「繰り返し」と言ったのだよ。その責任はきっちり取りたまえ。君は「あたまがわるい」のではなく「あたまがわるい」タグで自分の不誠実さを誤摩化してるだけなのだよ。「優生思想」や「全体主義」や「ナチスドイツ」と「ホロコースト」がどう違うから一方は「軽率」なだけで他方は「見世物を楽しんでる」ことになるのか、きちんと説明したまえ。

(2)無教養な者のこの種の事象に対する無関心・無理解も問題だが、反面、ホロコーストのように人間の暗い部分に突き刺さってくるような事件は、知れば知るほど余り語りたくなくなるものだと自分は考えていた。

で、「トリアージ」についてはそんなことは考えてない、と。だとしたらまったく理解不能だよ。

ところでApeman氏がなぜ上記のエントリ中に、

このような「破壊予告」を投稿する人間が同時に「靖国神社で再会して昔を語り合う元将兵や遺族」の姿にも憎悪を抱く・・・というのは十分あり得ることではないかと思う

という一節を入れているのか、理由がよく分からない。被爆電車爆破予告を行うような人間は恐らくはむしろ「右」だろう。

来た! また「分からない」ですよ! ちゃんと「(その記憶の内容以前の問題として)」という但し書きをつけているんだから、せめてその点くらいふまえて「分からない」と言ってもらいたかった。君の否認のおかげでちょっとした思いつきに自信がつきましたよ。


さて。実は「ホロコーストのように人間の暗い部分に突き刺さってくるような事件は、知れば知るほど余り語りたくなくなるものだ」とか「真正面から歴史を直視する者こそ、「憎悪」というほど激しい感情ではないかもしれないが、いまや広島観光のウリのひとつとして運行されているに過ぎない被爆電車(・・・)には複雑な感慨を抱くのではないだろうか?」といった一節には、これが HALTAN氏の言ったことでなければ肯首すべきところがある。しかしそこにこそまさに彼の不誠実さがあるのだ。ホロコーストについて語る時に人が覚えるべきためらいを、それについて語ることを禁じる口実にすること。なんの根拠も示さず「場違いな場」と断定することで、彼はきわめて恣意的に特定の事柄への言及を斥けることができるわけである。