2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『昭和の名将と愚将』

半藤一利+保阪正康、『昭和の名将と愚将』、文春新書 コメント欄でゴニョゴニョ言いながら言及していた本。第1章から第7章の「名将篇」は『オール讀物』に連載されたもの。ま、そういうのが好きな読者がいるわけでしょう。新書化するにあたって「愚将篇」の…

見逃した…

昨晩はNHKの「その時歴史が動いた」で「軍服を脱いだジャーナリスト」と題して(新聞のテレビ欄では「日米開戦を予測!日露戦争元軍人の軍備撤廃メッセージ」と表記)元海軍士官水野広徳をとりあげていたのだが、見逃してしまった。もっとも、近日中に再放送…

相沢事件の公判記録、発見

1935年、陸軍省軍務局長だった永田鉄山が執務室で斬殺された相沢事件の公判記録が、中国吉林省の档案館(公文書館)でみつかった、とのこと。 朝日新聞 08年2月27日朝刊 「2・26」の引き金 相沢事件 青年将校の動機 克明 公判記録、中国に 第2次世界大戦前の…

「プレミアム10 80歳の決着〜元兵士たちの日米野球〜」

フロリダにある75歳以上を入団資格とする野球チーム(平均年齢80歳)、Kids&Kubs に所属する退役軍人たちの発案で昨年ハワイで開催された「日米スーパーシニア親善野球大会」についてのNHKのドキュメンタリー(22日午後10時から)。こういう企画に参加する人…

今日買った本

謝花直美、『証言 沖縄「集団自決」――慶良間諸島で何が起きたか』、岩波新書 今月の新刊。「沖縄タイムス」に昨年7月から12月まで連載された「命語(ぬちがた)い」(05年6月からはじまったキャンペーン「挑まれる沖縄戦」の一環)を再構成したもの、とのこ…

感情の政治学

2月18日づけの一連のエントリにコメントしておられる「ヒロ」氏の発言がなかなか興味深いので。 まず第一に、この方は私が「後悔しないのはけしからんという事を言いたかったのだ」と考えたのだそうである。一連のエントリは(1)私自身、十分整理し切れていな…

改めて「ひとは悔恨をどう表現するのか?」について

私もこれをいまご覧いただいている人々の大部分も、人生において殺人、拷問、強姦といった加害体験を持っていないし、運が悪くない限り今後も持たずにすむ可能性は低くない。もちろんそれは私(たち)が卑小な悪事と無縁だということを意味しないが、ここで…

承前

さて、この「別館」でふだん扱っている範囲をやや逸脱することになるが、前エントリを書いている間に私の念頭に浮かんだものごとの一つは「改悛の情を示さぬ(として糾弾される)犯罪者」たち――最近で言えば附属池田小事件の宅間守が典型であり光市母子殺害…

「悔恨」はどのように表現されるのか

ちょうど一ヶ月ほど前に放送された、Bill Guttentag 氏出演のラジオ番組でのやりとりで、ちょっと印象に残ったところがあった(14分45秒あたりから)。映画を観た司会者が、インタビュー対象の元日本兵が「非常に気軽に casually」話しているようにみえた点…

蛇足ながら…

沖縄での性的暴行(容疑)事件に関して犠牲者非難が登場してくるというのは当然予想されたことで、残念ながらそのゲスさ具合も含めて予想の範囲内でしかなかった。この件についてはすでに多くの方が多くの優れた考察をしているので、中心的な問題とはちょっ…

どこかで見た風景

オーストラリアのラッド政権が、どこかの知事とは違って選挙公約とおりにアボリジニへの差別的政策に対する「謝罪」を行なったというニュースについて。 (…) 一方、群集からは謝罪に対する野党党首の反応に怒る声もあがった。 議会では、自由党のブレンダ…

いまさらながら例のTシャツのはなし

青狐さんが先月紹介しておられた「南京の真実」Tシャツ。その時は当該のTシャツのデザインをみただけで他の商品まではチェックしてなかったんですが、ネットの広告で「愛国心Tシャツ」というのがあるのをみつけてアクセスしてみるとこれが同じところの商品。…

「沖縄-刻まれた記憶」(信濃毎日新聞)

「薔薇、または陽だまりの猫」さん経由で。 昨年の8月から9月にかけて信濃毎日新聞に連載された、フォトジャーナリスト山本宗輔氏による「沖縄—刻まれた記憶」のPDFが著者自身によって公開されています。 http://homepage2.nifty.com/munesuke/shinmai-okina…

書評『戊辰戦争』

今日の朝日新聞の書評欄に『日本の戦争史18 戊辰戦争』(保谷徹、吉川弘文館)の書評が掲載されています(評者は野口武彦)。このシリーズは22巻『満州事変から日中全面戦争へ』(伊香俊哉)と第23巻『アジア・太平洋戦争』(吉田裕・森茂樹)を買って読んで…

これはすごい!

「虚構の皇国 blog」さん経由で。「英霊に答える会」のWebページにあるコンテンツ、「未成年者向け英霊HP」がすごすぎる! 一目見て悶絶すること請け合い。実はサイトをハックされてた、なんてオチがつくんじゃないだろうな?

「失くした二つのリンゴ〜日本と中国のはざまで 長谷川テルが遺したもの〜」

今日の朝日新聞夕刊で紹介されていました。 http://www.minkyo.or.jp/01/2008/01/002222.html 1937年(昭和12年)、一人の日本人女性がタイプライターを抱え、中国人の夫を追って横浜港から中国・上海へ向かいました。その3ヵ月後に北京郊外・盧溝橋…

「虜囚の記憶を贈る」第6回

『世界』2008年2月号、野田正彰、「虜囚の記憶を贈る 第六回 受難者を絶望させた和解」 先月号に続いて「花岡事件」の被害者で、労工たちのリーダーだった耿諄(コウジュン)氏からの聞き書き。今回は労工たちを“雇用”していた鹿島建設との交渉や賠償請求訴…

ベルリンにロマと同性愛者の犠牲者のためのモニュメント

New York Times の1月29日の記事より。 BERLIN — Most countries celebrate the best in their pasts. Germany unrelentingly promotes its worst. The enormous Holocaust memorial that dominates a chunk of central Berlin was completed only after yea…

朝日の捏造、という捏造(追記あり)

否定派の常套句の一つに「朝日新聞が南京大虐殺を捏造」したというものがあって、朝日叩きの主要なネタの一つになっているのはみなさんご承知のとおり。ところが、「朝日新聞が“慰安婦20万人強制連行説”の源泉」というのがガセであったのと同じく、否定派に…

『南京事件』増補版、印象操作(追記あり)

再び公平のためにあらかじめ断っておくが、以下に指摘するような類いの印象操作は誰しもが(私も含めて)無意識のうちにやっている可能性があるものであって、ただ自分がシンパシーを感じている論者によるものについてはなかなか気づきにくいだけかもしれな…

『南京事件』増補版、ゴシップ(追記あり)

『南京事件 増補版』(秦郁彦、中公新書)の加筆部分にはけっこうゴシップ的なネタも載っている。いくつか例を挙げてみよう。 高校の日本史教科書としては定評のある山川出版本で、執筆者が伊藤隆(東大名誉教授)から弟子の加藤陽子(東大准教授)へ交代し…

『南京事件』増補版

秦郁彦、『南京事件 「虐殺」の構造 増補版』、中公新書 地元の図書館にはいっていたので借りてきました。「増補版あとがき」によれば旧版の各章には手を入れていないということなので、書き加えられた第九章、十章に目を通しただけですが。章タイトルが「南…