「夏の戦争番組」追記

先日肯定的にとりあげた8月20日放送のBS1スペシャル「戦禍のなかの僧侶たち〜浄土真宗本願寺派と戦争〜」ですが、ひとつ書き忘れていたことがありました。ナレーションが近年ネトウヨ的言動の目立つ世良公則だった件です。そうした言動を知らずに起用したの…

今年の9・18、夏の戦争番組

9月22日朝の時点において、Google ニュースで「柳条湖事件」を検索した結果の上位はこんな具合でした。 「柳条湖事件」検索結果 例によって中国での記念行事を伝える記事がならんでいます。今年は共同通信が配信した「満州事変、加害の歴史忘れない」という…

遺骨と印鑑

沖縄激戦地で発掘された「存在しない名字のハンコ」 調査の結果明らかになった驚きの真実とは(抜粋) | デイリー新潮 沖縄激戦地で発掘された「存在しない名字のハンコ」 ついに遺族との接触に成功(抜粋) | デイリー新潮 沖縄戦の激戦地跡で遺骨とともに…

2022年の7月7日

一週間ほど遅くなってしまいましたが、今年も7月7日についての報道をチェックしてみました。 www.jiji.com digital.asahi.com 例年のごとく「式典」報道が並んでいますが、毎日新聞に至ってはそれさえ載っていないようです。この一ヶ月間に「盧溝橋事件」で…

歴史修正主義のために失われた機会

nordot.app (アーカイブ) 上記記事に在中ウクライナ人のこのような体験が紹介されています。 (……)ただ彼女の周りの中国人はウクライナへの同情を示してくれたという。「プーチンの手法が、かつての日本の中国侵略を思い起こさせた」ためだ。実際、ロシア…

受忍論を拒否せよ

神戸連続児童殺傷事件から25年ということで放送された関連ドキュメンタリーを2本見ました。 www.ktv.jp www.ntv.co.jp いずれも今年に備えて何年にもわたって取材を続けてきたことがわかる内容でした。ただ、二つの番組を見ながらどうしてもあることが気にな…

「歴史戦」の毒が回りきった日本社会

SNS等でさんざん話題になっているのですでに皆さんご存知のことでしょうが。 www.fnn.jp (アーカイブ) 本人もツイッターで“自白”していました。 【日本外務省がチェック含めしっかりしないと。昨日、外交部会長として外務省と頻繁にやりとりしたが、外務省…

毎日新聞で南京大虐殺否定論批判

4月1日と8日の『毎日新聞』夕刊に「日本国紀「南京大虐殺はウソ」論を検証 上・下」が掲載されました(大阪本社版)。インタビューを受けているのは笠原十九司さんです。 4月1日夕刊 4月8日夕刊 ご覧の通り(新聞としては)かなりのスペースを割いています。…

「真珠湾」への言及にすら耐えられない日本政府

3月24日に行われたゼレンスキー・ウクライナ大統領のリモート演説。実施が議論され始めた当初右派は大はしゃぎだった。代表的なのがこれだろう。 ゼレンスキー演説が実現すれば、それは「憲法第九条護憲平和主義」への「余命通知書」になろう。ゼレンスキー…

「幸せなら手をたたこう〜名曲誕生の知られざる物語〜」

昨年11月にBS1スペシャルとして放送された「「幸せなら手をたたこう〜名曲誕生の知られざる物語〜」。 www.nhk.jp これはもともと2016年に放送された番組だそうですが、これが去る2月14日、15日にBSプレミアムの「プレミアムカフェ」枠で再放送されました。…

「歩兵第11連隊の太平洋戦争」

昨年末の13日に「戦争関連番組雑感」という日記を書きましたが、その後になって見るべき番組が放送されました。残念ながら地上波ではありませんでしたが。 www.nhk.jp マレー半島での華僑虐殺と橘丸事件、及びそれらを裁いた戦犯裁判がとりあげられていまし…

「戦争体験継承」をテーマにした番組

「12月8日」以降もポツポツと放映されている戦争関連番組をチェックしていたら、「戦争体験の継承」をテーマにした番組に2つ出会いました。 www.ntv.co.jp www.nhk.jp 後者は今月始めに四国エリアで放送されたものが少し遅れて関西エリアでも放送されたもの…

戦争関連番組雑感

今年は“太平洋戦争80年”ということで例年よりも冬の戦争関連番組が多かったように感じます。今年が同時に満洲事変90年の年でもあることはほとんど無視されていること、12月8日にはスポットがあたっても12月13日はスルーされていること、そして日本軍による加…

「遺された声〜横井庄一の“戦争”〜」

先日、11月14日に NHK 総合の「目撃!にっぽん」枠で放送された「遺された声〜横井庄一の“戦争”〜」を録画して視聴しました。 www.nhk.jp まだ存命の妻へのインタビューや帰国の翌年に録音された横井さんの証言を軸とした構成。 タイトル 証言から、軍の上層…

「8月ジャーナリズム」の残り物

8月に(だけ)アジア・太平洋戦争をとりあげた番組や記事が増える現象を「8月ジャーナリズム」といいますが、今年は8月が過ぎてから発表された興味深いコンテンツも有りました。 一つは「withnews」で連載された「101歳からの手紙~満州事変と満州国~」です…

NNNドキュメント'21 10月3日放送回

2021年10月3日(日)深夜(4日未明)のNNNドキュメント'21は牛島満中将のお孫さんをとりあげる回とのことです。 NNNドキュメント|日本テレビ

「国民の歴史」を疑えない「複眼」

digital.asahi.com (アーカイブ) 「7月7日」や「12月13日」とともに日本のメディアでは軽視されている「9月18日」ですが、今年は90周年ということもあってか『朝日新聞』が社説で取り上げています。そのこと自体は評価したいと思いますが、内容はといえば……

21年夏「戦争」関連番組感想

オリンピック中継に埋もれつつ、この夏もNHKを中心にアジア・太平洋戦争関連の番組がいくつか放送され、一部をのぞいて録画・視聴しました。あいかわらず被害体験中心の番組が大半でしたが、そのなかでも「“玉砕”の島を生きて〜テニアン島 日本人移民の記録…

神戸・諏訪山動物園の殺処分

先週、プロ野球中継を見ようとサンテレビ(兵庫ローカルのU局)にチャンネルを合わせると野球中継の前のニュース番組「NEWS×情報 キャッチ+」で翌週の特集について予告しているのが目にとまりました。現在の神戸市立王子動物園の前進、諏訪山動物園で行われ…

岩波『世界』8月号

「八月ジャーナリズム」という言葉がありますが、月刊誌『世界』(岩波書店)の8月号は普段よりもアジア太平洋戦争に多くのページを割いていました。 まずは倉沢愛子さんの「それは日本軍の人体実験だったのか? インドネシア破傷風ワクチン“謀略”事件の謎」…

「黒い雨」訴訟、高裁でも原告勝訴

digital.asahi.com (アーカイブ) この問題について最初に書いた記事がこちらになります。もう12年前ですね。それ意向、4回ほどとりあげています。 「黒い雨」の範囲に関して新説 - Apeman’s diary 「黒い雨」に関する調査資料の存在、明らかに - Apeman’s …

日本統治下台湾の捕虜収容所

BBC NEWS のサイトに日本統治下の台湾で連合軍の捕虜を収容していた収容書に関する記事が掲載されています。 www.bbc.com www.bbc.com 在台湾のカナダ人歴史家マイケル・ハースト氏が20年かけてすべての収容所の位置を特定。公文書、戦犯裁判の記録、元捕虜…

「帝銀事件と日本の秘密戦」講演会

『帝銀事件と日本の秘密戦』(新日本出版社)の著者、山田朗さんによる同名のオンライン講演会が開催されます。 www.meiji.ac.jp ふつうであれば首都圏で開催されたであろう講演会を上京せずとも視聴できるのは、コロナ禍のせめてもの救いといったところでし…

連載「慰安婦がいた時代」

昨年は(いまも、ですが)図書館の利用も制約を受けたのでチェックするのが遅れていたのですが、『世界』(岩波書店)の2019年8月号から始まっていた佐藤純氏(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター)の連載「慰安婦がいた時代――新資料とともに改めてた…

山田朗さん講演会情報

新宿の国立感染症研究所の敷地内(陸軍軍医学校跡地) から多数の人骨が発見されたことをきっかけに活動を始めた「軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会」が「むさしの科学と戦争研究会」とともに主催する講演会の情報です。 イベント開催!〓人骨…

『歴史評論』21年5月号

『歴史評論』(歴史科学評議会)の2021年5月号が「ひとびとの歴史意識に向き合い、疑問に答える」と題する特集を組んでいます。歴史科学評議会はラムザイヤーの日本軍「慰安婦」問題否定論を批判した「新たな装いで現れた日本軍「慰安婦」否定論を批判する日…

wamセミナー 天皇制を考える(第4回)

4月29日に天皇制に関する wam セミナーが開催されます。講師は「大元帥」としての昭和天皇に関する研究の第一人者、山田朗さんです。 wam-peace.org

オンラインセミナー「ラムザイヤー教授の歴史修正主義を批判する」

『産経新聞』が大喜びで紹介したマーク・ラムザイヤーの「太平洋戦争における性行為契約」。しかしこれが根拠のない主張や引用文献の恣意的な利用、先行研究の無視といった手続き上の問題点を多数抱えていると批判されていることは皆さんご存知のことでしょ…

東京大空襲関連記事

2日ほど遅れてしまいましたが、東京大空襲に関連した新聞記事で目に止まったものを備忘も兼ねてご紹介いたします。 -朝日新聞DIGITAL 2021年2月23日 「(私の視点)空襲被害者への援護 国会は「受忍論」と決別を 中山武敏」(archive) 東京大空襲訴訟原告の…

『中国戦線、ある日本人兵士の日記』

-小林太郎(笠原十九司、吉田裕編・解説)『中国戦線、ある日本人兵士の日記 1937年8月〜1939年8月 侵略と加害の日常』、新日本出版社、2021年2月 bit.ly 2015年10月4日号の『しんぶん赤旗 日曜版』に「遺族が公開 虐殺生々しく 上等兵の日誌」と出して報じ…