2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

5月の新刊

ちくま文庫から刊行中だった半藤一利の『昭和史探索 一九二六―一九四五』全6巻が完結です。以前に松井大将日記の収録をめぐってコメントしたように、資料の選択や記述に不満がないわけではないけれども、古書店巡りをしなければふつうは読めない資料をダイジ…

南京事件否定論史上もっともシンプルな主張

をば展開してくださったのは、「伊勢崎のジャンヌダルク」こと、性犯罪の原因はジェンダー教育だと「定義」し、「男女共同参画」の陰に潜む陰謀を喝破し、「女は女らしく、でなにが悪い」と主張しながら、男装で戦場にでた女性に自分をなぞらえ、甲冑姿の自…

Iris Chang, "The Rape of Nanking" (2)

Part I の Chap.2を読了してChap.3へ。Chap.2は基本的に日本側の資料や証言に依拠して書かれた章であるため、記述の仕方は日本側研究者のそれと大きく変わらない。虐殺の背景を論じる際に改めて本質主義的理解を斥けている点などは評価できるのだが、同時に…

Iris Chang, "The Rape of Nanking" (1)

先日ご報告した通り、某所の紀伊國屋で The Rape of Nanking のペンギン・ブックス版が売られていたので買ってみました。どうも読んでもいないのに(なにしろ邦訳されてませんから)テキトーに批判されているフシがあるので。現在、Part I(Part IIIまである…

「大研究 昭和の陸軍 なぜ国家を破滅させたのか」

『文藝春秋』の6月号。半藤一利、保阪正康、福田和也、戸部良一、黒野耐の5人による座談会形式。小見出しは次の通り。 派閥抗争が改革をつぶした 宇垣一成と荒木貞夫 エリート教育システムの欠陥 東條英機と永田鉄山 天才戦略家の光と影 石原莞爾と武藤章 良…

「ニューズウィーク」のBBSにコメントしたのがオノ・ヨーコ本人ではありえない件について

good2ndさんのエントリをぜひお読みください。まあ私も、「誰もが彼女の名前を知っているが、誰も彼女が何をしているのか知らない」という状態に寄与した一人ではありますけど。 ちなみに、ジョン・レノンには"Woman is the Nigger of the World"というタイ…

山田宏杉並区長、映画「南京の真実(仮題)」製作発表記念講演会にて挨拶の予定

チャンネル桜の掲示板より。 日時:平成19年5月12日(土)午後2時〜4時30分 場所:産業商工会館、講堂、東京都杉並区阿佐ヶ谷南3-2 電話(03-3393-1501) ・挨拶 山田宏(杉並区長)※ビデオ出演 (以下略) だそうで。映画の賛同人のなかに名前はなか…

J-CASTニュースってなんだよ?

J-CASTニュース、ってのがあるそうで。 J-CASTニュースは、(株)ジェイ・キャストが運営するニュースサイトです。このサイトのために書き下ろされた独自記事のみが掲載されます。他媒体からの記事の流用はありません。 速報を特徴とする新聞・テレビの「1次情…

「「妖怪」がわかれば「昭和」もわかる」(対談)

作中で731部隊について触れたら左巻き認定されてしまった京極夏彦の対談集、『対談集 妖怪大談義』(角川書店)収録の、保阪正康との対談。連休中にどこかでその一部が引用されていたのを見かけて、「これは紹介する価値があるな」と思って本を探してきたの…

読売新聞の社説

すでにとりあげているかたもおられるが、昨日付けの読売新聞の社説。 南京事件を、「慰安婦問題」に続く新たな火種としてはならない。明らかな事実誤認に対しては、政府もはっきりと反論していく必要がある。 1937年12月、旧日本軍が中国国民政府の首…

こんどは「命令責任」だってよ

池田信夫氏が主張をころころ変えていたことについてはすでに十条さんが指摘しているが、今度は「監督責任はあっても命令責任はない」というかたちになったようだ。バカか? そもそも陸軍省なり参謀本部なりの「慰安婦の募集にあたっては強制連行せよ」といっ…

イラク駐留米軍兵士にモラル低下の傾向

Yomiuri Online 2007年5月5日21時37分 イラク米兵に深刻なモラル低下、戦争泥沼化でストレス? 【ワシントン=大塚隆一】米国防総省が4日発表したイラク駐留米兵の「戦場における倫理」の調査で、モラルや規律の低下が深刻な問題になっていることがわかった…

「命令」認定の基準に注目

Sankei Web 2007/05/05 21:43 占領時、米軍も「慰安婦」調達を命令 ホンダ議員「旧日本軍は強制」言明 【ワシントン=古森義久】終戦直後の日本国内で占領米軍の命令により売春施設が多数、開かれ、日本人「慰安婦」数万人が米軍に性の奉仕をして、その中に…

『陸軍特攻・振武寮 生還者の収容施設』

林えいだい、『陸軍特攻・振武寮 生還者の収容施設』、東方出版 NHKのETV特集で紹介された「振武寮」についてのルポ。沖縄決戦に向けて陸軍が編成した第六航空軍の特攻隊からは、機体の故障、悪天候や敵襲によって引き返したり不時着して体当たりを果たせず…

花園一郎、『軍法会議』その2

昨日紹介した『軍法会議』の目次。 はじめに 軍法会議法務官 人事命令/軍の横行/精神のわるい奴/国民皆兵/人営/申告/海軍軍法会議/構成/戦況 /上級将校の人軍/敗戦の予測/意見具申/軍閥/法務官/枠の中の権限/中支第六師団 飢餓の島 ソロモン…

ワシ。、激白(追記あり)

ハンドルにひとことコメントを付け加えるという実に厨なふるまいをするのでどう表記していいか迷うが、まあ「ワシ。」でいいや。 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20070425/p2#c ワシに対してマナーを説くのならば、お前はワシのブログや他人のブログに何をし…

『軍法会議』

これは掘り出し物。花園一郎著、『軍法会議』、新人物往来社(1974年)。著者は東京帝大法学部卒、41年に陸軍主計少尉(敗戦時大尉)。「はじめに」を立ち読みして軍法会議の法務官を務めた人物であることを知り、また目次に「中支第六師団」の文字があった…

『日本の戦歴』、『未公開写真に見る日中戦争』

『日本の戦歴』、毎日新聞社、1970年 『別冊歴史読本 特別増刊 未公開写真に見る日中戦争』、1989年 残虐な画像を含むのでサムネイルをクリックする際にはご注意をば。 すべての写真について、モザイク又は黒線での目隠しは引用者によるもの。また、引用を最…

現役将校からの批判

asahi.com 2007年05月03日00時39分 米陸軍中佐、将軍非難の論文 イラク戦争遂行失敗で イラクへ2度の派遣経験があり、連隊副隊長を務める現役の米陸軍中佐が「米軍の将軍たちは、ベトナムと同様にイラクでも責任を果たさなかった」などと、戦争遂行策の失敗…

イスラエルにおける「開戦責任」論争

Yomiuri Online 2007年5月1日0時43分 レバノン紛争、イスラエル調査委「首相が重大な失敗」 【エルサレム=三井美奈】イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラによる昨年夏の戦闘を検証してきたイスラエル政府の調査委員会は4月30日、暫…

ダルフール紛争で逮捕状

asahi.com 2007年05月02日22時03分 ダルフール紛争で逮捕状 国際刑事裁判所 スーダン西部ダルフール地方の紛争で、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)は2日、戦争犯罪と人道に反する罪の疑いで、スーダン人道問題担当相のアフマド・ハルーン容疑者…

『なぜ戦争観は衝突するか』

岩波現代文庫の4月の新刊、『なぜ戦争観は衝突するか 日本とアメリカ』(油井大三郎)は1995年にやはり岩波から刊行された『日米・戦争観の相克』の全面改訂版とのことだが、結果として非常に良いタイミングでの出版となった。米下院の慰安婦問題に関する決…

『岡村寧次大将陣中感想録』をめぐって

青狐さんが「「岡村寧次大将陣中感想録」(厚生省引揚援護局)表紙」というエントリで、私がこちらで言及した、『岡村寧次大将陣中感想録』の表題問題。当初、「南京の真実 情報交換掲示板」のスレッドNo.31ではdeliciousicecoffee氏がネタ元を明らかにして…