2012-01-01から1年間の記事一覧

補足

本日の2つ目と3つ目のエントリについての補足です。 「米国のなでしこさん」が槍玉に挙げている新聞、ご覧になればお分かりの通り、「慰安婦」碑についての記事の隣には、ゴードン・ヒラバヤシ氏への叙勲の記事が掲載されています。自国政府に抵抗しその不正…

「さあどうする」と問われているのはお前だ

nakazawa-s 韓国軍はベトナム戦争参戦時、自国の若い女性を従軍慰安婦として連れて行った。それは良いとしても、慰安婦が足りず現地ベトナム女性に子供を産ませ放置したいわゆる私生児が数万人とも言われている。さあどうする。 2012/06/14 http://b.hatena.…

天に唾する人

「水間条項の妄言ウオッチ」の lixyoshida さん経由で、凄まじきものをみました。 「米国のなでしこさん」が攻撃している記事はこちらで閲覧することができますが、日系米人向けの記事だということを踏まえればごく淡々と事実関係を報じただけの記事に過ぎま…

「成立の余地があるか」否かで言うのなら、「人口20万人」説は「犠牲者30万人」説以下

相変わらずネットではちょくちょく「人口20万のところで30万人殺せるはずがない」論法を読まされるわけですが、国際安全区に集まった難民の数についての委員会の推定を信頼する限り(もちろん否定派はそういう前提に立っているはずです)、「人口20万」説が…

「田中上奏文」に匹敵する神話といえば……

「昭和天皇、二度限りのご聖断」なんてのはその最たるものだろうな。二・二六とポツダム宣言受諾以外にも積極的に政治・軍事に介入した事例があるというだけじゃない。二・二六については、なるほど軍中枢にもあったクーデータへの同情論を排するイニシアテ…

『日中歴史認識』その後

服部龍二、『日中歴史認識 「田中上奏文」をめぐる相克 一九二七―二〇一〇』、東京大学出版会 先日読了。やはり「情報戦」という概念を軸として「田中上奏文」を考えようとするアプローチに違和感を覚える。曰く「「田中上奏文」に教訓があるとするなら、そ…

歴史修正主義者の史料読解法――「片言隻句に飛びつく」の巻

参考エントリ(コメント欄もあわせて) http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20120117/1326825260 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20120120/p1 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20120124/p2 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20120124/p1 http://d.hatena.ne.jp/Ap…

ご連絡

この数日、またスパムコメントがひどくなってきましたので、一時的に「なぞなぞ認証」をかけさせていただきます。回答欄には "spam" とご入力ください。 また、アップル社の MobileMe がサービスを終了するため、同サービスを利用しておりました旧本館は6月…

没ネタお蔵だし

アパグループ第4回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀賞を受賞した高田純・札幌医科大教授が著書『核と刀―核の昭和史と平成の闘い』(明成社)において、あのドクター中松と同じガセネタをとりあげていることについては、以前にエントリを書いたことがあり…

チャーチルの言う通りにしておけばよかった?

21世紀になってもまだ東京裁判についてぐちゃぐちゃ文句つける日本人がいるということを泉下のチャーチルが知ったら、「ほら、俺が言った通り即決処刑にしておけばよかっただろ」と思うだろうね。裁判という手間をかけたおかげで時間も金も労力もかかったし…

「精神的ケア」という欺瞞

本ブログでは「黒い雨」に関する従来の通説に挑戦する研究についていくつか紹介してきました。 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20090708/p1 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20100304/p3 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20111122/p1 しかし厚労省は従来の立場を…

「同等」とはなにか?

米パセリーズ・パーク市の「慰安婦」碑をめぐって、碑を支持し日本側の撤去要請を批判する新聞広告(5月29日、NYタイムズ)についてこもりんが自身のブログでエントリを書いています。 日本の右派が主張し国際社会から跳ね返された論法の繰り返しばかりで論…

『日中歴史認識』途中報告

服部龍二、『日中歴史認識 「田中上奏文」をめぐる相克 一九二七―二〇一〇』、東京大学出版会 こちらのエントリのコメント欄で話題になった上記の本を図書館で借り、満洲事変〜国際連盟脱退までのところ(第2章まで)を読了。 「さかのぼり日本史」ともっと…

神秘の国、ニッポソ

すでに scopedog さんがツッコミを入れておられますが、ネットの「慰安婦」問題否認論者にとって日本とは輸送船や鉄道やトラックなどの存在を知らず、1938年にはすでに制海権も制空権も失っており、しかしたった2万人(4単位師団なら1個師団以下)で8年間も…

「さかのぼり日本史」がひどかった(追記あり)

NHK Eテレで放送されている「さかのぼり日本史」。昨年の夏に「昭和 とめられなかった戦争」をやって、今年の2月には江戸時代を扱っていたので、今頃はさらにさかのぼって室町時代でもやってるのかな(しかしそもそも「室町幕府」は実在したのか!?)と思って…

松木兼治郎の沖縄戦手記、復刊

今日は沖縄の「復帰」40年目の日にあたります。これを機に、阪神タイガース創設当時の選手である松木謙治郎の手記、『阪神タイガース 松木一等兵の沖縄捕虜記』が復刊されるそうです。 神戸新聞 2012/05/14 「沖縄本土復帰あす40年 トラ初代主将の戦記復刻…

早くも予想が的中!

全然嬉しくない的中ですけどね。 「維新の会」が歴史教育をターゲットにするのもそう遠いことではないだろう、と思わされる。 (http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20120422/p1) この予想ですが。 朝日新聞デジタル 2012年5月11日 橋下市長ら近現代史学ぶ…

ねとうよさんのしんぴ

橋下・大阪市長が「歴史認識では村山談話支持&強制連行あった派。左翼のお仲間」だと言い出す不思議な人がいたので本館の方で、その程度のことなら「第90代内閣総理大臣・安倍晋三センセイについても言えること」と指摘したのですが(左翼というのは、戦争…

「25年の轍:加害、教えると「反日」」について

今年の1月に行なわれた日教組の教研集会で発表された授業実践が右派の攻撃にあった(その一例)ことは記憶に新しいところですが、4月28日の朝日新聞が「「みる・きく・はなす」はいま 25年の轍:1 加害、教えると「反日」」と題する記事でこの件をとりあ…

9条で飯を喰う人々

もう散々笑い者になっている記事だけど。 MSN産経ニュース 2012.4.28 「【欠陥憲法】(1)戦車にウインカー 「軍隊否定」の象徴」 この70年間、憲法第9条の恩恵を誰よりも被ってきたのは右派論壇ではないだろうか。なにしろ、なんでもかんでも「9条が悪い」…

『海軍反省会2』雑感

PHPからは今年の2月にすでに『[証言録]海軍反省会3』(戸高一成編)が出ているのだが、今回ようやく2を読んだ。 以前に1を読んだ時の感想にも似たようなことを書いたが、旧海軍についての私程度の知識では「読んで勉強になる」というところまでいかない。…

遺棄毒ガス被害訴訟、原告敗訴

中国吉林省敦化市で04年7月、旧日本軍が遺棄した毒ガス5件兵器で被害を受けたとして、中国人の劉浩さん(16)と周桐さん(19)が日本政府に計6600万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は16日、請求を棄却した。小林久起裁判長は「(日本政府が)…

「アジア・太平洋戦争」って言いたくないだけと違うん、それ?

『日本を滅ぼした国防方針』(黒野耐、文春新書、2002年)を読みはじめたところ、しょっぱなでつまづいてしまった。「プロローグ」は「大東亜戦争という呼称」という見出しのつけられた節で始まっている。「先の大戦」をどう呼ぶかは「本戦争の歴史的意義を…

「実の親を殺したのは 育ての親だった」

アルゼンチンの「五月広場の祖母たち」というグループの活動についての報道を、過去に2度とりあげました。 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20100801/p1 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20111129/p2 この国家犯罪をとりあげた番組が、昨月18日に放映されました…

『 南京大虐殺否定論 13のウソ』、新装版

1999年に柏書房から刊行された『 南京大虐殺否定論 13のウソ』(南京事件調査研究会編著)が、先日 "KASHIWA CLASSICS" の一冊として再発売になりました。 http://www.kashiwashobo.co.jp/cgi-bin/bookisbn.cgi?isbn=978-4-7601-4094-7 定価が上がってしまっ…

「史料読め」コース、3名様ご案内!

id:abu1500 id:hihi01 id:tiro2010kina とりあえず日本語で公刊されているものだけをリストアップ。 洞富雄編、『日中戦争南京大残虐事件資料集 第1巻 極東国際軍事裁判関係資料編』(青木書店) 洞富雄編、『日中戦争南京大残虐事件資料集 第2巻 英文資料編…

箸にも棒にもかからぬ「南京大虐殺は真実ではないと思う理由」

『WiLL』の昨年4月号に掲載された鈴木史朗の「南京大虐殺は真実ではないと思う理由」。一読しておよそ批判にも値しないシロモノだとわかるので放っておいたのだが、昨晩これを「捏造不可能な証拠」だと称して持ち出してきた人がいるので、この際片付けておく…

記録を残すということ

NHKで放送された『海軍反省会』シリーズの書籍版、『日本海軍はなぜ過ったか―海軍反省会四〇〇時間の証言より』(澤地久枝・半藤一利・戸高一成、岩波書店)より。 半藤 アメリカは、真珠湾攻撃のことは、戦争中にすでにやっているんですよ。なぜ日本に奇襲…

31日放送の「証言記録 兵士たちの戦争」は「満州国軍」

前回告知させていただいた時点では内容が不明だった3月31日放送分の「証言記録 兵士たちの戦争」ですが、サブタイトルが「満州国軍」であることが番組サイトで告知されています。 現在の中国東北部に日本が建国した国家“満州国”。ここに、日本・漢・満州・蒙…

「目撃者がいない」論の嘘とゴマカシ(追記あり)

河村たかし・名古屋市長が南京事件否定論を展開する際に「目撃者がほとんどいない。(これが)かなり決定的」と述べたことはすでに報道された通りですが、ここには1つの嘘と2つのゴマカシが含まれています。まずは目撃証言以外の証拠によって裏付けられてい…