戦争責任

「ファルージャの戦いは、硫黄島と同じように、尊敬をもって語られるようになるだろう」

11月10日、国立海兵隊博物館(でいいのかな? 原語は the National Museum of the Marine Corps )の式典でブッシュが語った言葉より。朝日新聞の報道をみたときには思わず「正気かよ」とブクマしてしまった。まあ日本だって1937年8月に中国諸都市への戦略爆…

吉田裕、『現代歴史学と戦争責任』、青木書店

『日本人の戦争観』『日本の軍隊』『天皇の軍隊と南京事件』といった他の著作と重複する論点もあるものの、非常に重要な問題提起を含んでいるので今日入手が困難なのが惜しまれる一冊。特に興味深かったのが、戦後の歴史学のあり方や「進歩的知識人」の戦争…

日本軍の戦死者に占める餓死者の割合

数日前にブクマしておいた記事。 「現代史家・秦郁彦 東条宰相「復権」は慎重に判断を」(Sankei Web 【正論】、平成18(2006)年10月15日[日]) 〔サイパン陥落〜東条内閣崩壊から〕半年後、和平を模索しはじめた昭和天皇は個別に重臣を呼んで収拾策を尋ねた…

「国内法的には戦争犯罪人ではない」って…

この記事などが伝える安倍晋三の国会答弁。そりゃあ「戦争犯罪」ってのが(ハーグ条約、ジュネーヴ条約などをはじめとする)国際条約への違反のことを意味しているなら、そもそも「国内法的な戦争犯罪」なんて存在しないでしょ。まあ「戦争」を取っ払って「…

安倍首相の答弁を擁護してみよう

くさすばかりでは芸がないのでたまには擁護してみようかな、と。 A級戦犯の戦争責任、政府断定は不適当…首相答弁 安倍首相は2日午後の衆院本会議で、首相就任後初の各党代表質問に対する答弁を行った。 首相は、昭和戦争に関するA級戦犯の戦争責任につい…

牛村圭、『「勝者の裁き」に向きあって―東京裁判をよみなおす』、ちくま新書

本書の主役、重光葵の著書『昭和の動乱』から本書は次の一節を引用している。 一旦終戦となると、忽ちにして政治家も実業家も、恰も日本は戦前平時の状態に復帰したもののように考え、終にいは、国際関係は旧に復し、通商すら直ちに自由に開けるものと軽信す…

『つらい真実 虚構の特攻隊神話』(小沢郁郎、同成社)

「小泉と特攻隊員」というエントリへのコメント欄でフナずしさんからご教示いただいた『つらい真実 虚構の特攻隊神話』、近所の書店であっさりと見つかりました。この種のテーマの本は「近代史」コーナーにある場合と「戦記」コーナーにある場合があるのでち…

老若男女ヲ問ワス徹底的ニ掃蕩ス

すでに一部を紹介した秦郁彦、『昭和史の謎を追う』(上下、文春文庫)から、いくつか紹介。 まずは第17章「マレーシア虐殺報道の奇々怪々」。章題からは虐殺の存在に懐疑的であるかのような印象を受けるが、実際にはそのようなことはない(犠牲者数について…

う〜ん、こりゃ「不可」ですねぇ。

寝ているあいだにkikori2660氏とmyhoney0079氏の間でラリーがあった…というよりkikori2660氏のサーヴがネットに引っかかった、って感じですかね。鬼首モードではしゃいでたkikori2660氏ですが、まったく的外れですから。 ちょっと画像は小さいんですが。すい…

まだ言うか…

イラク戦争の正当性強調 米副大統領と国務長官 チェイニー米副大統領とライス国務長官は10日、中枢同時テロから5年を前に米テレビの政治討論番組に相次いで出演し、ブッシュ政権が主導してきた対テロ戦で「米国はより安全になった」と強調、旧フセイン政…

東京裁判で日本が得たもの

東京裁判の不当性を言い立てる人びとのなかには「事後法だから」「勝者の裁きだから」「歴史上前例がない」*1と言えばことは片付くと思っていたり、具体的な根拠も挙げずに審理プロセスが不公正だと断言して終わりにしているケースが少なくないのだが、そう…

なにをいまさら…

各社が報道しているが、とりあえず北海道新聞から。 フセイン政権 「アルカイダと無関係」 米議会報告書 開戦「大義」を全否定 【ワシントン8日共同】米上院情報特別委員会は八日、イラク戦争をめぐるブッシュ米政権の情報活動に関する報告書を公表、同政権…

小泉と特攻隊員

小泉首相が特攻隊員に強い思い入れをもっていることはよく知られており、それが靖国参拝にこだわった背景であるとも言われている。しかし自衛隊の最高司令官として、(もし戦争が起き、戦況が思わしくなければ)自衛隊員に特攻同然の任務を命令することにな…

で、その種の「軽さ」といえば…

この人ですね。またしても、という感じですが。 ちょっと待った! 弁護士・成歩堂龍一の出番です。 (http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20060908/oota01) 「曾野のこういう軽いノリ」を問題とする*1文章を引用したあとで示される「ノリ」ですから、よもや筆…

粟屋憲太郎、『東京裁判への道』(上・下)、講談社選書メチエ

1983年のシンポジウム「『東京裁判』国際シンポジウム」に参加して以来米国などで東京裁判関連資料の発掘にあたってきた著者が、1984年から『朝日ジャーナル』(!)に「東京裁判への道」というタイトルで連載していた原稿をもとに、その後発掘された新資料…

「日本だけがひどいことをしたのか?」論について

日本軍の戦争犯罪、日本の戦争責任を巡る議論で必ずと言ってよいほどでてくるのが、「日本(軍)だけが特別ひどいことをしたのか?」という問いである。これに対しては「いや、他国民ならともかく、日本人が連合国側の戦争犯罪や残虐行為によって日本軍の戦…

南京からベイルートへの道

レバノン情勢は、イスラエル軍が国連の暫定軍基地を空爆し死者が出た(とされる)事態になっている。誤爆ではなく意図的な攻撃の可能性があるとしてアナン国連事務総長が調査を要求しており、“なにが起きても不思議はない”という常套句が虚しく聞こえるほど…