戦時性暴力

「同等」とはなにか?

米パセリーズ・パーク市の「慰安婦」碑をめぐって、碑を支持し日本側の撤去要請を批判する新聞広告(5月29日、NYタイムズ)についてこもりんが自身のブログでエントリを書いています。 日本の右派が主張し国際社会から跳ね返された論法の繰り返しばかりで論…

「上海派遣軍慰安所酌婦契約条件」が人身売買契約であることについて

「通りすがりの人」a.k.a.(以下略)にはまだ早い話ですが、いずれ必要になるかもしれない(あまり期待はできないですが)のでメモとして。 彼が持ち出してきた「上海派遣軍慰安所酌婦契約条件」は次のような内容です。 一、前借金 五百円ヨリ千円迄 但シ、…

公娼制は当時の日本では「当たり前」だったか?

法華狼さんの従軍「慰安婦」問題関連エントリのコメント欄に、残念な人権意識の方が登場していることはご存知の方も多いと思います。例によって「当時、公娼制は合法だった」云々という論法です。しかし早くも1893年に群馬県が公娼制を廃止*1したのを嚆矢と…

捏造された「朝日新聞の捏造」?(追記あり)

従軍「慰安婦」問題をめぐる言説を玉石併せてフォローしている人間であれば、この問題の扱われ方の転機について2通りの説が語られていることを承知しているであろう。即ち、「吉田清治の証言」をもって「慰安婦」問題の転機とする説と、「金学順さんらの提訴…

redicecubepp 氏とのやりとりまとめ

普段は twitter で“議論”的なことはほとんど行なわないのですが、このエントリで言及した私の「「韓国で軍隊が村に現れて娘をさらって行った的なイメージ」が流布しているというのが仮に本当だとして、それに一番貢献しているのは歴史修正主義者たちだと思う…

「慰安婦」の政治利用を許すな? そうだね

最近は言及するにしてもブクマですませてしまうことが多い池田信夫センセイですが、10月1日、10月2日、10月4日と立て続けに素晴らしすぎるエントリを連発しておられまして、これはさすがにとりあげざるを得ません。 1日の「放射能という迷信」というエントリ…

「慰安婦問題」否認の背景

@ikedanob 池田信夫 羞恥心は人間のもっている最も高価な資本。それを売るのは娼婦と同じ効率的なビジネス。 RT @hazamahisatake: 森永氏は役割を演じることに徹しているように思います。 (http://twitter.com/#!/ikedanob/statuses/21222126337925120) こう…

荒舩清十郎の講演?

関東大震災時の朝鮮人虐殺について、国会ではどのような議論がなされてきたかを調べていてたまたま発見。1990年(平成02年)06月01日参議院内閣委員会での発言。

旧日本軍兵士による戦時性暴力の解釈

http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/entry/1366558/ 上記↑エントリについて id:y_arim から idコールを貰って、こう言われたんだけど…… GHQによる占領中、中途半端に「東アジアにおける共産化への防波堤」として西側に拾い上げられたことが、戦後にねじくれた…

うん、そうだね

ぼくのほうの想像力が欠けているんだろうか。 (http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20090321/ianfu) 正解だと思いますよ。裁判官がこんな人間ばっかりだったら、この世に強姦罪で有罪になる被告人はほとんど存在しないだろうなぁ。 まあ「しらばっくれてるだ…

『週刊新潮』も産経を後追い

『週刊新潮』の1月22日号は「「韓国」は在韓米軍に「慰安婦」を提供していた!」と題する記事を掲載して、産経新聞の後追いをしています。といっても内容はあんまりなくて、報道された事実をやや詳しくとりあげた後秦郁彦に吉田証言の悪口を言わせ、韓国政府…

在韓米軍と売買春

dj19の日記 「「韓国人元慰安婦、韓国政府と米軍を告発 NYT紙」と産経が捏造」 『ナショナリズムの狭間から―「慰安婦」問題へのもう一つの視座』を書いた山下英愛さんの講演で、在韓米軍相手の売買春地帯で国家による性病管理が行なわれていたこと、元売春婦…

『思想地図 Vol.1』における東浩紀の発言について

先日のエントリのコメント欄にて上田亮さんから情報提供を頂いた件について、前後の文脈もあわせて改めてご紹介させて頂きます。 東浩紀・北田暁大(編)、『思想地図 Vol.1』、日本放送出版協会、2008年4月 問題の発言が含まれているのは「特集・日本」の「…

あいまい語法

NakanishiBさんから存在を教えていただいた「イザ!」の呉智英によるコラム、「職業に「貴賤」あり」。本人は(例によって)気の効いたことを書いているつもりなんだろうけど、実に底が浅いうえに産経新聞的にはブーメランな内容となっている。 職業には好ま…

戦場のミソジニー

田中利幸氏の著作『知られざる戦争犯罪 日本軍はオーストラリア人に何をしたか』(大月書店)の第3章は旧日本軍がオーストラリア軍の従軍看護婦を殺害した事件を扱っているのだが、当ブログでこの本をとりあげた際、そうした虐殺の心理的背景についての田中…

無知を武器にする人々、などについて

さて、先日“国家社会主義をファシズムと呼ぶようになったのは、1943年のスターリンの命令による”というオリジナリティあふれる、いやあふれ過ぎな新説を開陳した id:munyuu は、ポル・ポト派特別法廷についても斬新な主張をしている。 [これはひどい][社会][…

敗戦直後に日本人慰安婦を看護婦として雇用

すでにいくつかのブログで取りあげられてますが、こちらでも紹介しておきます。 敗戦後、慰安婦を看護婦に 旧軍の命令、文書で初確認 第2次大戦での日本の敗戦直後、旧海軍が日本人慰安婦を、軍病院の補助的な看護婦として雇用するよう命じた通達が19日ま…

nagaikazuさんの新投稿

すでにご存知の方も少なくないと思いますが、念のため。 秦郁彦氏の慰安婦数推計法の誤謬について(1) (1)、ということで続編も要チェックです。 「歴史修正主義の定義について」No.73 『世界日報』が元軍人に取材した結果として、手榴弾の(正規の)配布ルー…

『占領と性』(追記あり)

年末に立てた「積んどく解消計画」ですが、結局一冊だけ読了できました。 ・恵泉女学園大学平和文化研究所編、奥田暁子・早川紀代・平井和子・出岡学・荒井英子・牧律・加納実紀代著、『占領と性 ―政策・実態・表象』、インパクト出版 目次 まえがき 5 第一…

07年12月08日付けエントリへのコメントについて

ぼちぼち容量制限に引っかかりそうなので、こちらに移行してください。 一知半解男さんへ ただし、私は国際社会に対して説得力を持たないとは全く考えておりませんので、仮定の質問の趣旨を理解できても同意できません。 なんでこういう無駄なことを付け足さ…

分断を拒否すること

薬害肝炎問題については政府が「全員、一律救済」のための議員立法を行なう*1こととなった。もちろん、どのような法案が出てくるかという大きな問題は残っているけれど。さて、政府がこのような方針転換を行なう前の時点においてであるが、Arisanさんが「線…

小説をソースに慰安婦問題を論じるひと

ステージ風発 「慰安婦問題を再訪する??これでも「性的奴隷」だったのか。」 「慰安婦は性的奴隷ではなかった??伊藤桂一氏の名作が描く兵士と女性の交流」いやもちろん、小説を史料として語ることのできる歴史の側面というのはあります。しかしこんな論じ方…

「否定論の「性暴力」観」補足

「旧日本軍を免罪・擁護するために、現代を生きる自分の物差しを無批判に70年前に当てはめる」と言えば、先日問題にしたnekoyama氏の「強姦多発」否定論もそうです。このエントリのコメント欄でN・Bさんと私が婉曲なやりとりをしていますが、何が「あまりに…

否定論の「性暴力」観

先日、水島聡氏の軍慰安所に関する実に斬新な見解を紹介しました。 それぞれ二時間以上のロングインタビューとなったが、私は意識的に慰安婦の問題を具体的に聞いてみた。南京大虐殺肯定派の人々は、虐殺だけではなく、二万人から八万人の日本軍の強姦を主張…

『ガイサンシーとその姉妹たち』(上映会)、『ヒロシマナガサキ』、『二重被爆』(TV)

「文献紹介」というタグは妙だけれどもふだん映画については本館で書くことにしているので。 『ガイサンシーとその姉妹たち』 監督:班忠義 2007年、日中? 『ヒロシマナガサキ』 監督:スティーヴン・オカザキ 2007年、アメリカ 『二重被爆』 監督:青木亮 …

「グアム強制売春」裁判続報

「グアム戦犯裁判において裁かれた性暴力の事例」というエントリで言及した強制売春の事例についてですが、同じ事例と思われる戦犯裁判の記録がすでに1995年の段階で報道されていたことを発見しました。11月30日付け朝日新聞朝刊です。 戦犯裁判の記録に慰安…

『サイゾー』9月号がひどい

第1特集は「新しい日本のタブー」と題されているのだが、そのうちの一つが「「従軍慰安婦」と「南京大虐殺」のミスリード」。担当は大崎量平という人物。だが内容はというと、否定派の主張としてもかなり稚拙で、頼まれ仕事感が漂う。だいたい、どちらの問題…

"Composite Report on three Korean Navy Civilians List"という文書は実在するのか?

同じ文書(とおぼしきもの)を根拠に従軍慰安婦の強制連行を否定している3人の論者の記述を比較するとどうにも腑に落ちない点がある、ということでStiffmuscleさんが米国国立公文書館に問いあわせたところ、"We were unable to locate the report among the …

映画『南京の真実』スタッフブログより

本館の掲示板でEzowolfさんからご教示いただいたので見てきました。「老兵は死なず 水島 総」 それぞれ二時間以上のロングインタビューとなったが、私は意識的に慰安婦の問題を具体的に聞いてみた。南京大虐殺肯定派の人々は、虐殺だけではなく、二万人から…

92年1月11日の朝日新聞の報道とは…

慰安婦問題に関して右派が繰り返し強調してきたのが、朝日新聞の「誤報」です。例えばこんな感じ。 慰安婦問題の処理を誤った原点は、平成四年一月の朝日新聞の記事に対する宮沢内閣の誤った対応にあった。 この日、朝日新聞は「朝鮮人女性を挺身隊の名で強…