2008-01-01から1年間の記事一覧

実は「最後の戦犯」にあらず

12月7日に放映されたNHKのドラマ「最後の戦犯」。録画していたこともあって「ながら見」していたのだが基本的には史実に忠実に、という作りであったと見えた(脚本は主人公のモデルの手記に基づいている)。番組公式サイトには「予習コーナー」があって「軍…

67年目の12月8日

今年は前日の7日が日曜日だったこともあってか、テレビを見ても新聞を見ても対英米開戦についてのコンテンツはほとんどみあたらない。目についた一つは次のもの。 NIKKEI NET 2008年12月8日 「開戦前の交渉、「米は東亜の現実無視」 野村元駐米大使」 1941年…

「責任」について(承前)

前回に引き続き Domino-R氏の「東を全力で擁護してみる」について。正直に言えば今の時点*1で「責任」の問題を本格的に論じるのはしんどいというか避けたいところ。というのも、南京事件否定論はメディアだけでなく自民党および一部の民主党議員やその支持団…

ネットの議論が収束しないのは……

結局のところ、従来の媒体にもこんなやつがいるからでしょ? 【断 大月隆寛】国籍法「改正」のもたらす未来 歴史認識に限らず国籍法改正、以前の人権擁護法騒動、そして「水伝」だって既存のメディアが材料を提供しかつ/あるいはネットのトンデモを支えるか…

東擁護論について

自分では擁護の論陣をはるつもりもないくせに「フルボッコにしているのはけしからん」とか言いう無責任な輩が出てくるのも面倒ではあるので、そしてまたこちらの知見を深めるためにも東浩紀を擁護する人間が登場するのは歓迎すべきことですが……。 swan_slab …

かっこわる〜

http://www.hirokiazuma.com/archives/000465.html より。 「ぼくは最近、2ちゃんねるもはてなブックマークもなにも見ていません」 「この件がはてなで話題らしいというのは、先週の授業のあと学生から直に聞きました。」 「ここでは伝聞を根拠に「こんなこ…

周回遅れという自覚がないと自分がトップランナーに思える

ここ数日展開された東浩紀批判の書き手って、少なくとも私が気づいた範囲では、(1)科学(学問)がなんども相対主義や懐疑主義の洗礼を受けてきたこと、(2)ポストモダンもその一つであることを認めたうえで、そして(3)そうした洗礼には一定の意義(人によって…

山本五十六の遺書他、発見

一昨日のニュースですが。 2008年12月02日 西日本新聞朝刊 「「此志奪う可からず」開戦に異議 山本五十六の“遺書”を発見 大分県立先哲史料館」 旧日本海軍の山本五十六・連合艦隊司令長官(1884‐1943)が自ら記し、その遺書ともみなされている「述志…

教科書検定の透明性確保で一歩前進

asahi.com 2008年12月4日 「教科書検定調査官の氏名・意見内容公開へ 文科省が案」 「密室審議」の批判が強い教科書検定をめぐり、文部科学省は4日、透明性をもたせる改善案をまとめた。検定を左右する立場にありながら、これまで表に出なかった同省の教科…

論より証拠

ほら、こんなバカたちにエサを与えることになってるでしょ? API 南京事件, 思想 72年の日中共同声明で毛沢東と周恩来との間で過去の事は決着済みでしょ。だけどその後江沢民が過去の問題を蒸し返したあと中国人でもないのに江沢民の代弁者が日本国内にたく…

『〈満洲〉の歴史』

小林英夫、『〈満洲〉の歴史』、講談社現代新書 〈満洲国〉の歴史、ではなく〈満洲〉の歴史。第1章では17世紀から19世紀初頭までの「封禁の地の変容」(第1章の副題)が記述され、第7章では日本の敗戦後の「戦後中国東北」が、第8章では「満洲の記憶」が描か…

ポモ系リベラルは気楽な稼業と来たもんだ〜♪

いや〜来ましたね。日和見クンが自己正当化をはかって墓穴を掘った、ってところでしょうか。 渦状言論 「歴史認識問題についていくつか」 最初は「虐殺問題についていくつか」とかいう、すっごい投げやりなタイトルでしたよね、たしか。 南京事件とも歴史認…

『正論』、元空幕長に賭ける!

『WiLL』が「大人の常識」に向かってドン・キホーテよろしく突撃した件についてはすでにとりあげた通りですが、『諸君!』と『正論』の新年号の内容も明らかになりました。『諸君!』の方は平沼赳夫議員による「わが友 麻生総理よ、漫画はもうやめておけ」と…

別に元空幕長をどうこうしなくたっていいんですよ

毎日.jp 2008年11月29日 「防衛省:田母神氏講演に苦慮「手の打ちようない」」 政府の歴史認識に反する懸賞論文を公表して更迭された田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長は12月、講演などを立て続けに行う予定で、防衛省が神経をとがらせている。1カ月…

田母神「論文」最優秀賞、元谷代表が主導?

asahi.com 2008年12月1日 「アパ代表のみ田母神氏に最高点 論文審査で」 航空自衛隊の田母神俊雄・前航空幕僚長(60)が日本の侵略を否定する論文を発表し、更迭された問題で、懸賞論文を主催したアパグループ(元谷外志雄代表)による審査経過が複数の審…

ヘブロン暫定国際監視団

26日の朝日新聞朝刊国際面に載ったコラムだが、ざっと見た限りWeb版では掲載されていないようだ。 ユダヤ人入植者の暴力絶えず 国際監視団が抑止狙い巡回 イスラエルが占領するパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の最大都市ヘブロンで、ユダヤ人入植者たちの暴…

『WiLL』、全力で侮日キャンペーンを開始

すでにご存知の方もおられると思いますし、ここをご覧になっているような方なら100%予期しておられたことと思いますが、論壇の『ムー』こと『WiLL』は新年号で田母神元空幕長を擁護する特集、いや「総力大特集」を組んでいます。 ■田母神前空幕長 独占手記5…

「続 検証・前空幕長論文の底流」

単発ではなくて2日連続の企画だった。リード、小見出しは「政界 共感が見え隠れ」「批判の比重「立場が問題」」「制服人事に目届かず」。「「負の歴史」全否定は不健全」と題して西原正・全防衛大校長のコメントが紹介されている。 記事では自民党衆議院議員…

朝日新聞「検証・前空幕長論文の底流」

今日25日朝刊に掲載の「検証・前空幕長論文の底流 自衛隊内 潜む疎外感」。小見出しを拾うと「半世紀「評価足らぬ」鬱屈」「旧日本軍と連続性意識」「幹部教育に校長独自色 田母神氏、慰霊の新講義」となっていて、記事をお読みでない方もこれでおおよその内…

『「戦争」の心理学』(その1)

デーヴ・グロスマン&ローレン・W・クリステンセン、『「戦争」の心理学 人間における戦闘のメカニズム』、二見書房 エントリタイトルに「(その1)」とあるのは本書が2分冊ということではなく、全4部中の2部を読んだ段階でのエントリだから。 当ブログでも…

ある意味では「中立的」「客観的」では困るんだけどな

asahi.com 2008年11月19日11時57分 「愛国心の醸成狙い歴史教育 空自・西部方面隊が一時計画」 発表会資料となる予定だった「近代日本戦争概史」は現在、空幕教育課が作成中。南京事件や従軍慰安婦、東京裁判など明治から昭和にかけての史実をまとめるとみら…

現時点では「思想・信条の自由」のためにこそ防衛監察が必要なんじゃないですか、百地先生?

こういう事態になると急に日本国憲法が愛おしく思える方々がおられるようで。 【正論】日本大学教授・百地章 空幕長更迭と「思想信条の自由」 やはり懸念していたとおりの展開となった。田母神俊雄前航空幕僚長の更迭をきっかけに、防衛省では田母神氏と同じ…

マジなはなし

田母神元空幕長を支持する議員についても言えることなんだけど、こういう人権感覚しか持ち合わせてない人間が政府与党とか野党第一党にいる、という事実はいい加減まじめに考えないとマズいんじゃないですか? 極右政党つくってみなさんそっちに移ってもらい…

お知らせです

id:HALTANさま、HALTANさま、元衆議院議員(自民、現無所属)城内みのるさまが「ナチス」「ゲシュタポ」と連呼しておられます(太字部分は追記)。http://www.m-kiuchi.com/2007/12/05/jinkenyougohouanfutatabi/ http://www.m-kiuchi.com/2008/11/15/kokuse…

「コミンテルンの陰謀」説に「当時の価値観」で反論する

1937年の日中戦争勃発当時、外務省の東亜局長だった石射猪太郎の日記より。 8月19日 (…) ○本日石原莞爾の河相情報部長に内話する処によれば、支那軍に徹底的打撃を与える事は到底不可能と、私の予見も其通り。日本は今やソビエットの思う壷に落ち込みつつ…

「東洋のマタ・ハリ」は生き延びていた?

元空幕長が陰謀論てんこもりな「論文」を発表したばかりのタイミングなのでなんとも微妙な感じを漂わせるはなしですが…… すでに maroon_lance さんがとりあげておられた、「東洋のマタ・ハリ」こと川島芳子が処刑を「替え玉」で逃れていたのではないか、とい…

続・田母神問題、沖縄戦「集団自決」訴訟高裁判決への反応ウォッチング

「続」といっても前回は田母神問題にまで進めなかったのですが。というわけでさっそく櫻井よしこさんにご登場頂きましょう。題して「航空自衛隊の前幕僚長の論文は全体像把握に必要な知的努力」(http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2008/11/15/「航空自衛…

『週刊朝日』11月28日号

週刊誌による田母神「論文」の内容についての追及はこれで一巡、といったところでしょう。週刊誌の性格を考えると後は贈収賄事件への発展をにらんだ取材が中心になるのかな、と。新聞及び月刊誌には自衛隊の幹部教育も視野に入れて息の長い問題提起と取材を…

田母神問題、沖縄戦「集団自決」訴訟高裁判決への反応ウォッチング

フェアプレイにはまだ早い、ということで。今回は櫻井よしこ高裁判決をDisるの巻。 http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2008/11/13/「沖縄集団自決、高裁判決を疑う」/ 右の高裁判決に目立つのは深刻な論理矛盾である。裁判所では通じても、世の中に通用し…

「沖縄集団自決冤罪訴訟を支援する会」側の主張

先日産経新聞のとある記事の見出しを(ちょっと大人げなく)あげつらいましたが、この「○○の会」の類いの名称というのもけっこう難しいものですな。事情を知っていればわかるものだとはいえ、「沖縄集団自決冤罪訴訟」を虚心に読めば「集団自決」が「冤罪」…