2006-01-01から1年間の記事一覧
デイヴィッド・K・ハーフォード、『ヴェトナム戦場の殺人』、扶桑社ミステリー MPを主人公とした短編3本を収めた短編集で、著者はMPとして68年から69年までヴェトナムに従軍したという経歴の持ち主。戦場を部隊としている点を除けばまるまるミステリのプロッ…
旧陸軍が「空襲軍律」を制定した経緯について紹介しておられるbat99さんのエントリで言及されている、『軍律法廷―戦時下の知られざる「裁判」』(朝日選書)の著者、北博昭氏の日中戦争論。副題が示すように、『支那事変海軍司法法規』という海軍法務部の内…
同じく20日付け朝日新聞夕刊、「論説委員室から」。無錫氏当局者が企業誘致や観光振興のため街を日本人にアピールしようと考えたことが中山大三郎作詞・作曲の「無錫旅情」誕生のきっかけだった、と紹介されている。 (…) 列車で2時間ほどの上海で、小泉前…
20日の朝日新聞夕刊より。イスラエルの公共放送「チャンネル1」の報道を伝えるかたちで、イスラエル軍地上部隊が軍トップの命令に背いてクラスター爆弾を大量に砲撃した疑いがある、と。調べてみると北海道新聞のウェッブ版でも (前略) イスラエル紙ハーレ…
中央公論の特派員として38年1月に南京入り、第16師団歩兵第33聯隊の兵士に取材し、また上海でも取材を行なったうえで書かれた、極めてノンフィクションに近い小説。部隊の行動などが史実とよく一致することは歴史家も認めている。南京で国民政府発行の紙幣を…
南京事件FAQ Project 編集委員のみなさま、ご苦労さまです。
常石敬一、『消えた細菌戦部隊―関東軍第七三一部隊』、ちくま文庫 ―― 、『医学者たちの組織犯罪―関東軍第七三一部隊』、朝日文庫 サブタイトルはまったく同じですな、こうして並べてみると。 さて、『消えた…』の方はこの分野の古典ともいうべき文献で、実際…
11月10日、国立海兵隊博物館(でいいのかな? 原語は the National Museum of the Marine Corps )の式典でブッシュが語った言葉より。朝日新聞の報道をみたときには思わず「正気かよ」とブクマしてしまった。まあ日本だって1937年8月に中国諸都市への戦略爆…
13日放送のNHK総合「プレミアム10」、「喜劇王チャップリン・世紀を超える」によれば、『独裁者』の台本にラストの演説シーンはなかった。代わりに、武器を捨てた兵士たちが楽しげに踊るラストシーンが構想されていたとのこと。ちなみにその台本では日中戦争…
中間選挙の結果を受けて近いうちに…という観測はあったけどあっという間の辞任。
「後智慧ではなんとでも言える」とか「いまの価値観で過去を裁くな」というのは一般論としては一理あるわけだけれども、十五年戦争に関してこの手の論法が持ち出されるときにうさんくささを感じてしまうのは、「当時の指導者にとってアクセス可能であった情…
連合国のうち欧米諸国の捕虜に対する虐待・残虐行為としては泰緬鉄道建設のための強制労働、バターン死の行進、九大医学部生体解剖事件など広く知られているものもある一方、関係者以外にはほとんど知られずに終わっているものもある。本書が扱っているのは…
『日本人の戦争観』『日本の軍隊』『天皇の軍隊と南京事件』といった他の著作と重複する論点もあるものの、非常に重要な問題提起を含んでいるので今日入手が困難なのが惜しまれる一冊。特に興味深かったのが、戦後の歴史学のあり方や「進歩的知識人」の戦争…
本人はまだ「大統領だ」と主張しているが。 ヨーロッパ諸国が「死刑」判決にどう反応するかに注目していたのだが、やはり死刑反対論が出てきている。仮に死刑制度を妥当なものとして前提するならフセインが死刑に価する戦争犯罪・政治犯罪を犯したことに疑い…
藤原彰が『天皇の軍隊と日中戦争』で紹介している三光作戦(燼滅掃討作戦)関連の資料、北支那方面軍の「第一期晋中作戦復行実施要領」は「燼滅目標及方法」を次のように定めている。 1、敵及土民を仮装する敵→殺戮 2、敵性ありと認むる住民中十六才以上六…
やはり「論争」にコミットしている人間としては気になる点なので。「数学屋のメガネ」さんの「宮台氏の「左翼の嘘」という発言の意味」というエントリにて。 このような論理の使い方に関わる「嘘」の構造は、対立する議論にはいくつか見つかるのではないかと…
2006年10月31日 tukinoha 社会 最新の論文を1本読めばわかることが、どうしてこれほど長く議論されているのか理解できない。教えて、エrい人! 2006年11月02日 zaikabou 歴史 そうですね。あと、教えてちゃんで悪いのだけれど、『最新の論文を1本』を具体的に…
asahi.com 2006年11月01日21時27分 兵士の頭蓋骨問題が深刻化 独検察捜査、政界でも対立 アフガニスタンに派遣されたドイツ連邦軍の兵士が、人間の頭蓋骨(ずがいこつ)と一緒に記念撮影した問題が深刻化している。撮影時期や所属の異なる兵士の写真が独メデ…
昨日のエントリへの補足です。 そもそも人間が「われわれ/彼ら」という図式でものを考えることが避けがたいことなのかどうか。これはこれで大きな問題だが、「われわれ/彼ら」図式を乗り越えた、という自己認識はしばしば隠れた「彼ら」を想定しているだけ…
非正統的な主張(疑似科学であれ偽史であれ)がサバイブする条件についての、good2ndさんの考察を拝見して。 (前略)しかも、否定論にとくに積極的に与しない人でも「否定説もあるようで、実際のところどうなのかよくわからない」という態度の人が少なから…
これまで何度か書いてきたことですが、私は南京事件を(より一般的には戦争犯罪を)否定したり相対化したりする傾向と、刑事犯罪に関して厳罰化を要求する傾向との間に有意な相関関係があると思っています。多分、既発表の統計をあれこれあたれば相当程度実…
土曜日以降の、私とここのブログ主氏との間のやりとりをご覧になって、「Apemanもさっさと答えてはなしを先に進めればいいのに」と思った方がおられるかもしれない。土曜日の晩から日曜日の未明にかけてあちらが書き散らしたエントリ、およびコメントをご覧…
南京事件否定論者はしばしば、なんの根拠もなく(あるいは日露戦争当時のエピソードを根拠に)日本軍の軍紀は極めて厳正だった、と主張する。実のところ、日中戦争当時、軍の上層部が軍紀の弛緩を問題視していたことを示す資料は枚挙にいとまがなく、また一…
上のエントリで引用したコラムの末尾で秦郁彦が「つけくわえると、天皇を訴追しないという連合国の方針は東京裁判の開廷(46年5月)前に確定していた」と述べているのは、昭和天皇の発言が責任逃れのための粉飾ではないことを強調する目的ではないかと思…
最近のアメリカの戦争映画を観ていると、衛生兵の描写にけっこう重点が置かれているという印象を受ける。昔の戦争に比べて、戦傷の描写が非常に生々しくなっていることとも関係があろうし、また「アメリカ軍は戦傷者にできる限りのことをする軍隊だ」という…
数日前にブクマしておいた記事。 「現代史家・秦郁彦 東条宰相「復権」は慎重に判断を」(Sankei Web 【正論】、平成18(2006)年10月15日[日]) 〔サイパン陥落〜東条内閣崩壊から〕半年後、和平を模索しはじめた昭和天皇は個別に重臣を呼んで収拾策を尋ねた…
ブクマコメントより。 (前略)が、どうも否定派も肯定、というか「積極的否定論批判派」も、なんかツボを外しまくってるような気がしなくもない。肝心なのは何だ?_ 具体的なご指摘がないんであれなんですが、レイシズムと陰謀論で結論を固め、しかも平気…
質問されたからコメント書いたのに、承認してくれないんでこっちのエントリで返事をした件だが、コメントをごっそり削除していた。こういう小さな「歴史」でもしっかり修正なさるわけだ。 また別件で、このブログでは言及していなかったこちらでもコメント削…
相手方のコメント欄だけでひっそりやるつもりだったんだけど、あまりにもモノスゴイので。 http://blog.goo.ne.jp/ojisannsama/e/340edb8d24cecc7c2eb95b44a89f333a http://blog.goo.ne.jp/ojisannsama/e/2650cb6b280ac0abb9c58c4249d74d35 http://blog.goo.…
ネット上の南京事件否定論に共通する一つの特徴は、南京事件に関してきわめて厳しい証拠評価基準を掲げることである。同じ基準をあらゆる歴史的出来事に適用するなら、ほとんどの歴史的出来事について「あったかなかったか不明」と言ってしまえそうなほどで…